嘘を吐いたら地獄で舌を引き抜かれるらしい。想像しただけでゾッとしたけれど、全部死後の話だったから気にしないで嘘をつきつづけた。

まあ、結論から言うと嘘を吐いたら舌を引き抜かれるというのは事実。ただそれが死後の話じゃなくて現実の話ってだけ。

地獄っていったら熱くて、溶岩がグツグツ煮だっていて、痩せた細身の人間が詰められて、叫び声や悲鳴があちこちで飛び交い血が絶えない、みたいなのを想像するけど、現実でもあながち間違いではない。

溶岩や人間が詰められていることはないが、つんざく悲鳴は健在するし血は絶えていない。

太陽を閉ざした底冷えするコンクリートの部屋で右が52発、左が30発、足が70…なんぼかわからないが、感情任せの暴力を全身で受けとめた。

俺はとある組織にガセを流し続けていた。だって怖いオジサン達が俺の一言に翻弄されるんだぜ。これほど滑稽なことはない。それがばれてしまった、というこれまた滑稽な話なわけであって。

地面に吐き出した血が痰と絡まり嗚咽を繰り返した。下品な笑い声が止まない。頭がクラクラするどころじゃない。意識が遠い。

鈍い金属音が耳元で鳴らされる。ペンチだ。ペンチが耳元で口噛みを繰り返している。そうして冷たい感触がしたと思ったらピアスを丁寧にひとつずつ引き千切られる。脳ミソが引きつる。肉の繊維が音を立てて切れていく。皮膚が裂けていく。声帯は潰れて喉は焼けるように痛いというのに悲鳴を上げずにはいられない。

いっそ一思いに殺して欲しいと心の底から思った。底冷えするコンクリートの冷たさが歯にしみる。ここは本当に生き地獄という言葉が似合っていた。


「さぁ、口を開けぇや」


ほんと、嘘を吐いたら舌を引き抜かれますよ。あっ、ついでに歯も。命乞いをするくらいなら、もっとましな死に方を考えた方がいいですよ。




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