銀世界



「雪は溶けても輝けるけど僕が死んだとしても輝く事なんてないんでしょうね」

「そうだな」

「笑わない、のですか」

「馬鹿だな」

「ええ僕は馬鹿ですよ」

「なら雪を溶かさない努力しろよ」

「ですが、いずれ溶けます」

「じゃあ溶けても分からないように暗闇の中に放っておけばいいじゃないか」

「………言っている意味が、」

「分かってんだろ」

「…………」

「ようは光に当たらなければいいわけじゃん、溶けることも輝くこともない」

「………」

「それ、…俺がやってもいいぜ」

「汚れ仕事を勝手出るなんて厭らしい」

「まあ俺、お前嫌いじゃないし」

「ふふっ、そこは素直に言ってほしいです」

「はっ、男同士だぞ」

「そうですね…じゃあ、ばれないように、二人で闇の中にいますか」

「まんざらでもないってか」

「はい」

「くくっ、やっぱ面白い奴だな」

「そうですか?」

「…易々と溶けるなよ」

「お互い様です」



(成れの果ての銀世界)




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