無機質
窓のない部屋に光を求めてみたけど、どんなに目を細めても意味はなかった。伸びた爪を齧って尖らせて、浮かび上がっている手首の青筋に突き立てて繊維に沿って縦に動かす。血液がどろどろだからだろうか、想像していたよりもゆっくりゆっくり血が溢れてきた。二酸化炭素で満たされたこの部屋から酸素だけ吸い込み瞬きを繰り返す。どんどん重たくなってゆく目蓋に手探りで首にある太い血管を見つけて血塗れの爪を突き刺しゆっくりと中に押しつけた。ひび割れたコンクリートの壁にもたれかかり、そのまま膝を曲げてしゃがみこむ。ただただ無機質に血液が流れたのだった。