肺呼吸



「昔ね、鼻で呼吸するって知らなくて、幼稚園の話よ?ずっと口で息していたの」

「なにそれ、嘘でしょ?」

「いやいや、本当に。私、記憶力には自信あるもん。円周率20桁まで言えるもん」

「へえー」

「でもさ、さっき理科で人は肺で呼吸するって言ってたじゃん…私びっくりして…、えっ、びっくりしなかったの?」

「いや、私は別に」

「嘘でしょ!?」

「ここで嘘ついてどーすんのさ」

「つ、つまりね、昔の私は口で呼吸をすると思っていたの。さっきまで鼻で呼吸するって思ってたわけ。それが全て覆されたの!」

「まあ…そうみたいだね」

「これってすごくない?」

「…皮膚呼吸って、知ってる」

「えっ!ヒフコキュウ!?」

「そっ。それこそ昔の人は皮膚でも呼吸してると思ってたの。まあ、水蒸気とか毛穴から出ていくからね」

「うんうん」

「だから、昔のパブとかで女性の裸体全身に金箔を貼って男性客の性的欲求を満たすサービスがあったんだけど、長時間金箔を貼っていたら皮膚呼吸ができなくなって死んじゃう、ってことで一時間しか金箔サービスはなかったんだよね」

「死…死ぬ……」

「そ、でも最近の研究で人は皮膚呼吸していないってことがわかったの」

「え、え、え?」

「うん、まあ人は肺呼吸しかしてないんだよって話」


(ま、研究が進めば話は変わってくるけどね)






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