外は酷く凍える夜だった。
みんな家の中に閉じこもって、各々暖をとっている。血の繋がらないたくさんの家族が無邪気に走り回っている。私は一人、窓際でスープを飲んでいた。すきま風が冷たく、窓がガタガタ音をたてている。椅子の上で膝を抱えて、コップから伝わるスープの熱を両手に閉じ込め、一口すする。窓がまだ鳴きだした。ふと視線を向ける。雪が風に吹かれていた。ものすごい速さで視界を通り過ぎていく雪。息をしたら喉が凍り付く気がした。視線はそのままでスープを飲んだ。窓のガラスがスープの湯気で曇った。私はスープを飲むのをやめて曇ったガラスをみた。そうして息を吹きかけた。途端にガラスが曇った。曇ったガラスの向こうはぼやけている。私はかじかむ指でハートを描いた。振り返るとある愛しの大きな背中を見つめた。小さい子供の世話をしながら暖をとっている。子供に囲まれて、時より笑い声と共に背中を揺らしている。スープを一口すすろうと視線を離したすきに大きな背中に寄り添った女の影。私には到底敵わない人。普段から仲睦まじい二人に、無意識に、目を伏せた。窓をみればうっすらとハートが浮かび上がっている。背中から二人の笑い声が聞こえた。優しくやわらかい声だった。私は静かに目をとじて、ほんのり汗をかいた窓ガラスを手で拭ってあげた。






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