B級



「ね、キスしてみない?」
「彼氏できた時の為に?」


良いわね。どちらかともなくキスをした。女同士だからなんでも出来たし、曝け出せた。息は止めるの?目の閉じるタイミングは?ディープのやり方も試し試しで知った。

そして晴れて私たち達に彼氏ができた。付き合いが初めてな者同士、もどかしさが生じるがそれさえも甘酸っぱくて楽しい。

彼とキスをする。雰囲気はバッチリ。今まで練習してきた成果を発揮できると思うと鼓動が落ち着かない。

ゆっくり目を閉じて、控えめに唇を突き出して静かに呼吸を抑えていった。練習通りだ。

優しく唇が触れた。その瞬間に背筋が凍った。目を見開いた。生理的に涙が込み上げてきて肩を押して突き飛ばした。


「ごめんなさい!別れて」


それからの記憶は憶えてない。気付いたら彼女の所にいた。お互いに身を慰め合うように気持ちいいキスをして貪るようにディープキスもした。


「あたし、どうしちゃったんだろ…」
「私も…他の人とキスできない」


彼女の黒く長い髪を撫でると溜め息が出てきた。手を取られて手のひらを合わせて指を折っていく。いやらしく絡まった。


「これでいいわけ?」
「……今はいいんじゃない」


…そうね。今を謳歌しましょう。





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