おにぎり
「おにぎりの中身ってさー」
「うん?」
「梅とか鮭はご飯の上に乗っけて食べても美味しいじゃん」
「あー、そうだね」
「ツナマヨってご飯に乗っけないじゃん」
「…そだね」
「なんでおにぎりにしたんだろう」
「…お前、暇人なんだな」
「いやいや生きるのに必死だよ」
「それは万人共通ですから」
「人じゃなくたって!」
「なんでそんな必死なんだよ」
「人じゃなくたって!」
「あーはいはいそうですね」
「例えばさっき殺した蜘蛛だって」
「みんな気持ち悪がってたじゃん」
「そんな理由で殺されただなんて、あの蜘蛛が知ったら泣くよ、そして全米が泣くよ、好きで蜘蛛に生まれたわけじゃないかもしれないのに、悪い魔女に変えられたどこかの国のかっこいい王子様かもしれないのに!」
「ええぇ、一番気持ち悪がってたのお前じゃん」
「ふぅ…命は大切だよ」
「スケールのデカい話にしやがって、いいから黙って飯食えよ」
「…今日おにぎりツナマヨなんだ」
「美味いよ、保証する」
「……………」
「どうだ?」
「まだ、ごはん」
「あ、そう」
「うおっ、きた!うめぇ!」
「おにぎりは中身が何でも美味いから」
「うめぇよ!うめぇ!うめぇ!」
「お前、語彙乏しすぎるから」
おにぎりには愛が入ってますから。