さようなら



アスファルトの上を流れる赤は染み込む事もなくただ乾いていくだけ。太陽を睨めば倍の攻撃を受けて目を瞑る。死ぬんだ。死ぬんだ。まだキスもエッチもした事ないのに死ぬんだ。あーあ。結局生きる意味ってなんだったんだよ。頬に当たる砂利のお陰で正気でいられる。それを探すため知るために生きればなんて言った奴誰だっけ。まあいい。死んでからゆっくり思い出して取り憑いてやる。てゆーか死んだら何もかんもお終いじゃん。やっぱ取り憑くなんてよっぽど執着心なかったら無理だよ。目蓋が重くなってきた。はあ。てきとーに生きたからてきとーに死ねると思ってたけどそんな事ないね。ないよ。死ぬのに何ら変わりはない。残された人がどうおもうかだよ。母ちゃん。父ちゃん。姉ちゃんにペコ。碌でもない奴でごめん。せめてまともな死に方したかったよ。でも事故だからさ。しょーがないじゃん。これも運命だと思えば受け入れられるよ。てきとーに生きてたから思考もお粗末だ。受験落ちてごめんなさい。塾まで行かせてくれたのに。サボって遊んでコンビニで暇潰ししてたわ。あー。わー。意識遠退くわー。語尾がのびるー。てか十年前の受験思い出すとか走馬灯じゃん。いわゆる死に際の走馬灯じゃん。映画でよくある泣けるシーン一歩手前じゃん。まあ葬式で泣くのは五、六人だろうけどなー。事故って災難だなー。即死じゃないパターンってこれなんだなー。つらー。二度と経験したくないや。てゆーか二度とかないし。やべー。笑えない。まともに笑えやしない。死ぬんだ。死ぬんだわ。ああもうどーでもいい。思い残す事なんて直ぐ出ないや。うん。死ぬの受け入れます。はい。死にます。さようなら。また会う日まで。さようなら。




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