若葉マーク



最近、車の運転免許証を取得した。まだ初心者だから中古車を買って若葉マークをライトの上とトランクに貼った。それは車に似合っていなくて、もどかしさがあったがほんの少しの辛抱だと我慢する。


「ねぇ、何処行きたい?」
「え…お前が運転すんの?」


彼氏を家に呼んでドライブに行こうと提案し、行き先を決めていたら彼はあからさまに嫌な顔をした。


「当たり前じゃん」
「なら俺パス」
「え、なんでよ!」
「まだ死にたくねーもん」


彼は私の運転するドライブを死ぬ前提とした。それは私を怒らすなは充分すぎる理由であった。


「なんで死ぬ前提なわけ?」
「いやいやマジの死亡フラグ」
「はぁ?意味わかんないんだけど」
「とにかく、ドライブ行くなら俺の運転だ」


彼は咥え煙草を灰皿に押しつぶして色んなところのカギをつけたキーチェンを指で得意気に回し始めた。


「ねぇ、私を信用してないの?」
「んなわけじゃねーよ」
「じゃあなんでそんな事、」
「ああもう煩いな」


水族館連れてってやるから、と彼は慣れたように私の機嫌取りをした。苛立ちが募った私は立ち上がって彼の頬をおもいっきり叩いた。


「あんたとは別れる!帰って!」


彼は立ち上がると部屋の壁を乱暴に叩いて、それから出ていった。一人になった部屋の窓から私の車が見えた。

若葉マークが酷く似合っていた。




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