短気は損気と判明



紙で切れた指は赤く細い線がひかれているようだった。次第に糸が玉をつくり、ゆっくりと内側に流れていった。絆創膏は探さなくてもないことを知っているので視界に入ったセロハンテープを傷口に貼った。指の汗と血でテープはすぐに剥がれてしまった。何故か無性に腹が立ち、次は傷を負った指全体にセロハンテープを巻き付けた。取れないように何重にも巻いた。セロハンテープひとつを使いきった。指は窮屈で次第に痺れてきた。折り曲げて血流を良くしようにもセロハンテープの所為で指は折り曲げる事は愚か、揺らす事すら出来なくなっていた。その指だけが冷たくなっていくのを感じた。ああ、これはやばい。カッターを取り出してやけに太くなった指に目がけて刃を突き立てた。そこから指先に向かって刃を動かした。何度も何度も繰り返し動かした。セロハンテープが全部剥がれた時には指に無数の赤い糸がひかれていた。見た目は酷く痛々しいが大して痛くはないから驚いた。ああ、良かった。胸を撫で下ろしたけど自然に目から涙がこぼれていった。

何もかもが嫌になった昼休み。



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