ダスト



ピリリ ピリリ ピリリ

拍手喝采の中で耳障りな電子音が聞こえたので重心を低くして少し身構えていたが拍手は止むことなく時は進んでいた。周りにいる薄汚い髭面の親父達の笑顔が急に悪人面に見えてきて自分の目を疑った。雑音と拍手と電子音が一瞬で飽和してゆっくりと耳に入ってきた。

ピリリ ピリリ ピリリ

目玉が泳いで視界が歪んで嫌な汗がブワッと湧いた。熱くなった呼吸に紅潮していく頬を自覚し小汚いオッサン達の間を掛け分けてその場から逃げ出した。罵声と唾と拳なんか気にせずに走って走って走って駆けて駆けて躓き転び這って這って立って転び泣いてしゃくり這って這って声をあげた。



ピリリ ピリリリリ … ピー


硝煙の匂いなんて、と右斜め前の彼女が泣いた。




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