ハリネズミの恋
僕は君が好きだ。
僕と君は幼なじみで親友。だからこそこの気持ちを押し殺さないといけない。だって君は男。僕らの関係が崩れるのは目に見えている。
でも、もう耐えられないよ。
弱くて情けない僕は君に好きと言えないまま命を絶ちます。くだらない事だと思うだろうけど、僕にとったら大問題。君の事を好きになった僕がいけないんだ。僕が死に女に転生したら君に気持ちを伝えよう。
だから、その時まで。
深夜の学校の屋上で僕はタイタニックの名シーンのように両手を大きく広げてみる。夜風が心地よい。満天の星空の下で僕は君を想い、死ねてよかった。
さようなら。
僕は大きく息を吸い込み吐き出した。目を強く瞑る。そして身を乗り出し飛び降りかけた。
「ばかっ!」
後ろから声がした、と思ったら腕を後ろに引かれた。僕は知らない誰かに抱き締められていた。
「ばか、お前何してんだよ!」
「え…なんで…?」
振り向けば僕が焦がれている君。きつく抱き締められていて、首に顔を埋められていた。心拍数が上がる。目頭も熱くなってきた。
抱き締めないで、僕は君を傷つける。
それでも腕を解く事は出来なくて、君の優しさに甘えてしまった。声を抑えて僕は噎び泣く。声を漏らす度に君はきつく抱き締めた。
「ごめん、すきなの、ごめん、ごめん」
それだけ言って僕は君を突き飛ばして屋上の端に立ち止まった。振り返れば尻餅をついて目を白黒させている君。
ほら、ね。
「ごめん…」
でも今のは君が悪いんだよ。
流れ星と共に落ちてゆけ、僕の、体。