変態ボーイ



八月の第三週。

翻ったぶらんこに中指を立てて雑草に隠れていた肌色の多いエロ雑誌で一人薄っぺらな紙に向かって射精した。はっぴーばーすでいー。今日は誰かの誕生日。尚且つ誰かの命日。この精子たちのような。


人はそれなりに生きてそれなりに死ねる。死のう。思い立ったら吉日。車道に飛び出すか高所から身投げ。他にも死に方は沢山ある。生まれる方法は数少ないのにね。


さいしょはグーとあるように。射精の瞬間をみた女の子にグーをした。何度も何度もグーをした。何度も何度も勝った。出さなきゃ負けよのルールを大人気なくも行使したまでである。


パピヨンって美味しそうだよね。なんか響きとかさ。パピプペポが入っているからかな。よくわかんないけど美味しそうだよね。毛がフサフサしていてちっちゃくて。美味しそうだよね。


エロ雑誌の女の子は卑猥な顔で足を広げていた。スケスケの下着が魅力的で目が離せない。羞恥心など最早微塵にもないのであろう。可哀相に、と一人で勝手に心配をした。好きでやっていたら天職に出会えて良かったですね、とたわわかな胸に挟まれ死にたい。


グーチョキパー。次に出す手は決められていた。運命という名の定めとやらか。何が違うって何も違わない。定めと運命はイコール関係にあると携帯電話の予測変換が教えてくれたんだ。顎を伝う滴。パーを出すタイミングは今だ。


赤道直下なら死んでいた。溶けるように熱い。いま溶けて死ぬならきっとこうだ。アイスキャンディーのように先ずは汗をかく。それから落ちていく。骨抜き状態になって溶けてゆく。蒸発して残り香を野良犬が楽しむ。思考を子供にしてみます。さんにーいち。


どうする。またグーでいくか。次はチョキを出すか。相手は何も考えていない。小さな小さな女の子。パピヨンみたいな女の子。毛がフサフサしていてちっちゃくて。美味しそうだよね。そうだよね。じゃあもう分かったようだね。


天災で死ぬのはいやだな。事故なら仕方ない。やっぱどっちでもいいんじゃないかな。死ぬことに何ら変わりはない。生きている奴らが勝手に言うだけ。可哀相な死に方をした。それはどうかな。永遠に結ばれない人とデートしてて天災に巻き込まれて一緒に死ねたら本望じゃないかな。あっ。これは勝手な妄想です。


家にエロ雑誌はないから大丈夫だよと未発達な肉体にグロテスクをぶちこんで呆気なく果てて萎えた。初めてだから許して欲しい。童貞でごめんなさい。年齢と彼女いない歴がイコール関係にあると自分自身で女の子に教えてあげた。きっと同じだろ。イコール関係であるんだろ。


溶けて死ぬならアイスキャンディーの棒は骨だろうな。はい、汗かきます。はい、落ちていきます。はい、骨抜きにされます。相手がテクニシャン的な意味ではないよ。とにかくグロテスクな意味。はい、蒸発していきます。野良犬はいないです。どうか残り香を楽しんでください。エロ雑誌の女の子と目が合う五秒前。


チョキってなんか微妙じゃないかな。二本しか指を出さないんだよ。なんで二本なんだろうね。他の三本に同情まではしないけど寂しいって泣いたらお気に入りのハンカチを貸してやる。君らはそれでいいんだよ。汚れ仕事は二本だけでいいんだよと慰めてやる。


パピヨンってほら煩く鳴く感じ。甲高い声でさひっきりなしに。生まれた時から狂犬病に悩まされているのですって雰囲気だけでも醸してくれたら有難い。まあ鳴き止まない時点で狂犬病ですね。


女の子は黙っていた。むき出しになった瞳は人形みたいで誰しも皆が一度は憧れる顔をしている。放り出された四肢は切り落とした。幼い子の骨を斬るのは赤子の手をひねるまではいかないが簡単だった。斬るたびな白濁色した液体が女の子から出てきた。とりあえず笑っておこう。


人は人を殺せると誰かが言った。いいえその通りです。おっきな胸で窒息死か多量出血死した野郎はおっきな胸の持ち主に殺されているのです。殺された人の望む死に方なら殺した人の罪を軽くする法律いやいや憲法を作るべきだと一人、部屋で嘆いてみる。


パピヨンは狂犬病だとイコール関係であるような妄想してごめんなさい。童貞なので許して欲しい。ただ煩いのが嫌いなだけです。持論押しつけてごめんなさい。でもでも聞いてください。いま目の前にいるパピヨンは煩くないんです。パピヨンは可愛いです。同時にパピヨンはやっぱり美味しいです。


アイスキャンディーの棒は誰かが持たないといけないよね。思考は子供に戻っていますよ。溶けて死ぬ時、骨を持っているのはきっと神様です。日常は人形劇。神様の気紛れです。神様は何人もいなくて大丈夫です。だって見たことあるんです。神様の手は何本も生えているんです。凄いでしょ。


じゃんけんで何度も何度も勝った。強運がついている。じゃんけんで負けた女の子は無惨。またね。パーを出して女の子と永遠のさようならをした。



翻ったスカートの中にはスケスケの勝負下着でアソコを立てて街路樹に隠れていた自分は肌色の多い格好で一人たわわかな胸に突っ走って射精した。はっぴーばーすでいー。今日は誰かの誕生日。尚且つ誰かの命日。この精子たちのような、この女の子のような。あっ。


八月の第三週。今日は僕の誕生日。



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