おやすみのキス



喧嘩して泣き寝入りした妹の部屋に夜中忍び込んで、あかい瞼に唇を優しく押しつけた。長い睫毛は動かない。少し塩っぱいかった。

ああ、僕の可愛い妹よ。食べ物の怨みは怖いのだと、兄である僕が教えないといけないね。

長い髪の毛を掬ったら、指の間から零れていった。小さな寝息が心地よい。口元についているのは母が僕の為に作ってくれたチェリーパイのジャム。時計の針は十時を指している。

よい子はおやすみの時間だね。

僕は妹におやすみのキスをした。


チェリーの味が胸に酷く痺れた。



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