認識る

ごめんなさい、なんとかなると思ってたの。



たった3回デートしただけで彼氏面なんかすんじゃねーヨ、と思いながら目の前で怒りの赤色をしている男の説教をぐだぐだと聞いている。

頭を撫でられたら私、簡単になれちゃうの。そんなことは言えないけど、暖かかったら安心できゃうのは本当で。"さいてい"と言う形容詞がピースにはまる。

疲れたから足を組み直しただけなのに男はまた怒った。こいつの怒りの矛先も沸点も狂っているんじゃないかと思った。どうやら私はそうやって無意識に誘っている、と言う男の言い分。

確かに大胆な夜はそうやって楽しんだこともあるけど、百発百中なわけないから、それは男が自分勝手にそう信じ込んでいるだけの話。なんだったらこの男も足を組んで釣った男だったっけ。

つまりこいつは女が際どい格好で目の前で足を組みなおされたら、"誘ってる"と勘違いするとんでもない男というわけで。

お互いに"さいてい"が似合っていた。



「おいッ!」

自分はめっちゃ怒ってます、って言いたげな声で私の下の名前を馴れ馴れしく呼ばれた。

つまらない体温と、私。
男と女はめんどくさいわね。
なんとかなると思ってたわ。

「ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったの」

誰と寝たって。
でも気づいたわ。
わたし、愛されているのね。
不覚にもこんな"さいてい"な男に。

上手く笑えずに前を向けば、目が合う。


こんなことでしか愛を感じれないなんて私は"さいてい"な女ね。








「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -