べろ

アスファルトを雫が黒く染めていく。月の映し鏡のように魅せる白くぼやけた街灯がはたはたと揺れる。通り雨が赤信号を濡らした。もう、夏が終わる。

大安吉日。暦上では夏はすっかり終わっているというのに、やれ、夏休みだの残暑だのと、やたら夏を楽しみたがる。彼もその中の一人。

風見鶏もおかしそうに、カラカラ笑い、蝉は死んだ。虫取り子供の減少、天候最悪、もう散々。


だから、晴れた日。夏が来たから、海に行ったよ。砂浜を駆けて、駆けて、空振りして。彼は時計をずっと気にしていた。列車の時刻がある。

砂の上に、並んで座って、指で未来を書いて、笑って、そうして。

あてにできない、ね。

笑ったのが最後でした。









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「見えない臓器の名前は」
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