待つわ
「きもちえぇ…」
イチゴジャムとハチミツを一緒に食べたみたいな、そんな甘い甘い、甘ったるい声で、ひどく擦れた余裕のない息遣いで、私の名前を呼んでは執拗に胸を貪っている。
本当は胸なんて、これっぽっちも気持ち良くないんだけど、彼が興奮しているみたいだし、何より、胸を触ったり揉んだり吸い付いたりしていて、なんだかそれが私たちには出来ない赤ちゃんみたいで、可愛くて、仕方ないから、私は喘ぐ。
「ん……ンん…っ、はぅ…ぅ」
男女だから、性行為ができる、わけじゃないから、性行為は欲求を満たすだけのものになったのかもしれない。ならば意味のない、存在があるだけの、私の子宮は、きっと、ただの空っぽのがらんどうで、いつかは彼に捨てられると悟った私は、さよならのタイミングを待つわ。