あま、い
はふはふ、息をしていたら、また、しつこめにちゅーされた。
もう顔はまっかっかで、頭はぐるんぐるんしてて、声もまともにだせない。
「かわええ」
それだけいったら、今度はきつく、ぎゅーってされた。じたばたする力もなくて、だらんとなる。
「い…、たい」
ぺちぺちと、届かない背中をたたく。声はかすれて、息もくるしい。
だけど、力は弱まらなくて。
「かわええ、かわええ、かわええ」
そういって、力いっぱい、ぎゅうぎゅうしてくる。ほっぺたも、すりすりさせられて、ちょっとかさついた肌がいたくて、目をぎゅってつむったら、ぱくって、唇がたべられた。
あむあむ、とやられて、ぬるっとされた。なれない事に、ぶるっとした。これは、あんまり好きじゃない。
「くち開けて」
いつもより、早口で、低くて、ざらついてて、せっぱつまった声で、耳にふぅとふきかけられた。
こわくなって、ゆっくり、言われた通りに、くちをあけたら、いきなり何かが入ってきて、むせた。
だけど、そんなこと関係ないみたいで、すぐに、ぐちゃぐちゃの、あっぷあっぷにさせられて、きゅうって体をちぢこめた。
「あほ、なけ」
かわええ、かわええ、言っていた時とは違って、すんごく、おこってるのと違うけど、こわい顔で、ぽいって、ベッドに投げられて、そう言われた。
よくわからなくなって、ちらっと顔をみたら、暗くてよく見えなかったけど、やっぱりこわい顔してて、やになった。
「チッ……はよ、なけや」
ガッ、と何かが体に投げられてあたった。いたいって思うより、足で蹴られたってわかって、もっとこわくなって、ないた。
「痛いの好きやろ。おら、泣けや」
それから手と足が踏みつけられたみたいになって、黒いかげが、うんと近くにあった。
「やっ、いや…っ、やら、や…っ」
じたばたしてみても、体はうごかなくて、どうしようもなくなった。はぁ、はぁ、とあつい息が顔にかかる。
いやだ、って、体をよじったら、ばしん、て体のあちこちをたたかれた。ひりひりいたくて、こわくて、もっとポロポロないた。
ビリビリって服がやぶかれる。ごつごつして、カサカサしている手が、からだをなめる。
「いやっいやっ、やめ、ん、ぅ…や、っ」
びくびくする、自分じゃないみたいな、からだと声。もう何もかもがこわくなった。
「ん…っ…、かわえぇ」
そうしていたら、今度はやさしい声で、いつもより、あまったるく、そう言ってくれた。
それが、なんだかちょっとうれしくって、もっとほめられるように、ぼくは、あうあうなくの、がんばった。