夏時間
暑いのはいいんだ。ただ日光が嫌なんだ。いやらしいよ、あいつら。肌をどんどん露出させようとしてくるんだから。肌を見たら、刻印を残してくんだ。いつしか黒くなりシミになり、最悪な場合は皮膚癌だそうだ。太陽は一体全体、何をしたいんだろな。地球に近づいてるのが恥ずかしいのか照れてんのか、ただそうやってニヤニヤ虐めてんのか。なんにせよ、質が悪いったらありゃしねーよ。お陰さんで、肌はいてーし、一部だけ焼けたしで、こっちは散々なんだよ全く。まぁ、ここでぐだぐだ言ったってしゃあない事は、百も千も承知。どうせ冬あたりになったら拗ねてソッポ向いちまうんだ。まったく、可愛げのないやつだよ。構ってほしけりゃ、そう言えばいいのによ。──なんの前触れもなく静かに訪れた熱と光を、凍てつく季節では胸を焦がすほど待ち望んでいたというのにも関わらず、これといってそれらを歓迎するわけでもなく、時に恨めしく思うわけだが、しかし訪れた喜びが少なからず喉元で留まっており、それらに伴った当然の悲しみの狭間を行き来するだけの夏時間よ。どうか目一杯に楽しませておくれ。