スター
僕がスターになれないのは分かっていた。社会的知恵はたいしてないし、顔は無愛想だし、ちょっと短足だしな。
目を閉じてバービー人形にあの女優さんの唇をイメージして口づけをしてみたら強烈な罪悪感に苛まれたよ。
古くからの馴染みのあの女と結婚してみたら、セックス以外何もかもイマイチで別れちまった。
僕は愛されたくて仕方ないんだけど、どうやら多くを求めすぎているのかもしれないな。だけど人生一度きりだと聞いたから、弾けていきたいじゃん。
僕には何かが欠けているんだけど、それがまだよく分からないんだ。それは容姿や知性じゃないって事は分かっているんだ。それが分かったらいいんだ。だけど僕はまだ分からない。だから僕はスターになれないんだ。