make love
愛がない、と言うなら
「あっ…あぁ…ン…あ、あ、あっ」
0.02oの隔たりの中に精液を吐き出す。さっきまで馬鹿みたいにアンアン言ってた彼女は息を潜めて腰を静かに上下させているから、達しているのだろう。
「お金、くれないの?」
お互いにシャワーを別々浴びて、さっきまで妖艶に乱れていた彼女はもう居なくて、露出がキツいスカートで足を組んで偉そうにタバコなんか吸いながら、「早く、お、か、ね」と掌を俺に見せつけながらせびってくる。
「ほらお金、はやく頂戴よ」
「……なぁ」
「なに?無いとか言わせないよ?」
「俺ら、付き合わん?」
はあ?と彼女は訳が分からない、と言った顔をした。俺は真っ直ぐ彼女を見つめる。それからすぐに吹き出すような仕草をして、馬鹿にするように笑った。
「なに言ってんの?ふざけないでよ」
そうして鋭い眼差しで毒を吐いた。
性器を美味しそうにしゃぶっていた彼女が、いま目の前にいる彼女と同一人物には見えなかった。
彼女は脱ぎ捨てた下着を拾い上げ、俺に尻を突き出すようにして局部をちゃちな布で隠した。
「そう言う事ならもういい、」
「は?」
「お金はいらないから、連絡しないで」
「ちょっ、ちょっと待てや!」
何かを頭から被ったと思ったら簡単なワンピースで明るい小花がたくさんあしらわれていた。
すぐに部屋から出て行こうとする彼女の肩を咄嗟に掴む。まだ湿っぽい栗色の髪が腕をくすぐる。
「俺達、なんだったん……?」
絞りだすように、苦しく問いた。彼女の動作も一瞬止まり、沈黙に溺れる。
「…お金貰ってた時点で、援交でしょ」
それくらい分かりなさいよ、と冷たく言い放ち、椅子に置かれてたショルダーバッグを掴み取り、カチャンと俺の前から姿を消した。
俺達の間に愛なんかなかったのは確かだった。火のない所に煙を立てるのではなく、火を起こせばいいわけで、俺達は愛を作れば良かったんだ。