恋愛の過去形
サヨナラの一言で終わってしまうような、俺らの恋愛って、そんなちっぽけなものだったんだ。
唇から伝わる熱とか感触はあっても、愛とか感情は感じれなくて、そのもどかしさで、ただ乱暴に唇を合わせたこともあった。
今はもうない君の残り香を探し、輪郭を思い出して、虚しくなる。本当に、好きだった。これっぽっちも気持ちは伝わっていなかった。
今日は天気いいねって笑い合うことはなくなってしまった。明日の予定を考えることもしなくなってしまった。面倒くさがっていた返事を、もっとちゃんとしてあげれば良かったのか、バイトのシフトを減らして会う時間を増やせば良かったのか、もう分からない。
いつか忘れてしまうのか。そう考えただけで、情けなくも恐怖を感じた。一人でも生きていけると勘違いしてしまっていた自分がいた。
あれはちっぽけな、愛だった。
だけど確かにあれは、恋だった。