オオカミ少女
やわっこい彼女にキスをする。
頬っぺたにしたから、くすぐったいのか、唇じゃないからもどかしいのか、わからないけど、クイッと肩をあげて、ちょっと笑った。
「私のこと、大好きだね」
「今更かよ…」
「いや…改め、て?」
「うん、好きだよ」
長い黒の髪を頭の高いところでひとつに束ねているから、よしよし、と撫でることが出来なくて、抱き締めてみた。身体に回した手が、運良く彼女の、ブラのホックをかすめた。シャツの上からでもわかる。
「ちょと、…やめてよ」
「なんもしないから」
「コーフンもしない?」
「……それは、生理現象なんだから許してよ」
まだ勃起なんかしていないし、するなんて決まっていないのに彼女は俺をからかうみたいにそう言うから、イヤラシイ事を考えて、本当に勃起して彼女を困らせてやろうと思った。
「言っとくけど、私セーリだから」
「……うん?」
「あっ、分かってないでしょ」
「………」
女の子の日。彼女はそう言って俺のヘソあたりを撫でて、へへっ、と笑った。
そこでやっと、彼女が生理なのだと理解した。可笑しいな。この間も、そんなこと言っていなかったっけか、と疑問符を浮かべた。
「大変だな、女子は…」
「そー思ってないでしょう」
彼女はトン、と俺の胸を軽く突き放して、ぶくっ、と膨れてみせた。
俺は苦し紛れに笑って、いろいろ誤魔化すみたいに、また、ギュッと抱き締めた。
「今からセックスするんだから、そう思ったんだって」
ハァ、と。わざと息を含めながら耳元で言ってあげれば、バカッ、と胸に頭をグリグリと押しつけてきた。