なんでもない時間が好きだ




そう言ったら彼は笑うだろうか。



休日に二人で会うことが出来て、今はもう真冬で外出するにも寒さが気になり、結局いつもこうしてどちらかの家に集合してゆっくりするのが定番になりつつある。


大学で新しく出来た友人達とも遊びに行くも刺激があって好きだけれど、それは授業後にでも出来るし、休日はこうして真琴と過ごすのがしっくりくる。



しっくりくるっていうのもどうなんだろう。



大学は一緒に東京に行こうとそれなりに勉強も頑張って、真琴とは違う大学にはなったものの、こうして頻繁に会えるのは有難い。

高校の時から一緒にいて、部活を頑張る真琴を一生懸命応援して、それなりに支えられたと自負さえしている。



そう、真琴とはずっと一緒にいた。




一緒に進学なんて凄いね と、よく言われるけれど、それが凄いかどうかは分からない。



「あ、ごめんね」



一人暮らし用のコタツは特に大きな真琴と一緒に入るにはやっぱり小さくて、よく足がぶつかり合う。

何でもう少し大きいの買わなかったのと聞く
と困ったように笑うから、そこは色々察することにする。



一人暮らしの初めての冬だもんね。

まぁ慣れない訳で。




けど、そんな不器用な真琴も、一人暮らしに慣れようと頑張る真琴も私はやっぱり大好きで


コタツの中で微妙に触れ合う足先を何となく絡ませあうくすぐったさが心地良い。




「真琴、私今度このお店行きたい」

「日本初上陸なんでしょ?名前そういうの好きだもんね」

「せっかく東京に来たんだから、全力で楽しまなきゃ」

「じゃあ混雑のピークが過ぎたくらいの時期に行こうか」



テレビで紹介されるお店を見ながらも、足先をチョイと突けば同じように突き返してくる。


そんな何てことない時間が、私には何よりもの時間で。



次第に近づいてくる横からの影が視界に掛かる瞬間が、付き合い出した当初から変わらず一番好きだと言ったら、真琴はきっと喜んでくれるんだろうな。


いつか絶対に伝えようと思いながら、そっと瞳を閉じて温もりを迎え入れた。







(ずっと大好き)



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