眼が覚めると、カーテンの隙間から太陽の光が差し込んでいて、もう朝かとケータイで時間を確認すると、平日だとありえない時間で。




一週間で土曜日の朝は二番目に好きだ。

一番はもちろん金曜の仕事上がりの時。



一番開放感溢れるその時を気持ちよく迎えたいが為に仕事を頑張るといっても過言ではないかもしれない。


二番目の今は、明日も休みだというワクワク感があって、社会人になって数年たつけれど、未だに大好きな時。





とくに今は、その朝を一緒に迎える人がいるからかな。






同じベッドで眠る、真琴くんの姿。



会社の先輩で、ペアを組んで仕事をしていた。


最初は仕事が出来る先輩だと尊敬していたけれど、次第に彼を知っていく内に自然と恋心を抱いていた。




恋人という関係になってまだ数ヶ月。




こうして真琴くんと一緒に朝を迎える日がくるなんて と、今もドキドキしてしまう。



サラリと顔にかかる前髪をはらってあげると、まだ気持ちよさそうに眠っていて。


起こさないようにゆっくりベッドから立つと



向かうのはキッチン。




朝ごはんは何にしようかと冷蔵庫を開けて、卵がちょうどよく残っているのを確認すると、食パンをトースターにセットする。


フライパンもあたためて、卵をおとした時、ちょうどリビングの扉が開く音がした。




「ん…名前」

「真琴くん、おはよう」

「おはよう。良いにおいがする」

「うん。今パンと目玉焼きの用意してるからね」




朝食は軽めな二人だから、これくらいがちょうど良い。


コーヒーも用意しようとケトルを手にしようとすると、フワリと真琴くんの香りがすると、後ろからそっと抱きしめられていた。




「真琴くん?」

「…うん」

「どうしたの?」




優しく包まれていて、ドキドキというより心がじんわりと温かくなって、回されている真琴くんの腕にそっと手を添えると、真琴くんのおでこが私の頭のてっぺんにあたって



振り向きたくても振り向けない。



でも、この空気が心地良い。





トースターの食パンから次第に良い香りがし出した頃


スー、ハー、と真琴くんは深呼吸をすると








「…なんか、幸せだなぁ」








そう言ってくれるから



痛いくらいに心臓が締め付けられて、思わず、回された腕にぎゅっとしがみついた。





フライパンの目玉焼きは、仲良く黄身が並んでいた。












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