ふぅー。やっと買い終わった。
1ヶ所に全て揃ってれば良いのにそうもいかず、結局3つの屋台をまわった。
今度は自分の分も忘れずに買った。あとは帰るだけ。
しかし割と無理をした。ペットボトルを7本を持っているというより抱えているわけだが、不安定で今にも落ちそうだ。
やっぱり誰かに着いてきて貰えば良かったと思ったが、今更かつペナルティにならない。
いつの間にか私はペットボトルを落とさず運ぶことで頭が一杯になり、周りの事など見えなくなっていた。
「大変そうだね。手伝おうか?」
『!??』
「あ」
私の視界は自分の手元だったため、横からかけられた言葉にすら驚き、ギリギリを保って運んでいたペットボトルを落としかけた。
声のした方を見てみると、3人の知らない男の人がいた。人の良さそうな微笑みを私に向け、先程の返事を待っているようだった。
こういう経験は初めてだけれど、だてにさつき姉のボディーガードをやっていない。これは下心がある人の目だ。
私に絡んでくるとは……。今日ここにはリア充ばかり来ているのだろうか。彼氏はいないが、一応男女で遊びに来ているという事で、私もその分類に含まれる。可哀想な人達だ。
心で静かに合掌してから私は答えた。
『ありがとうございます。大丈夫です。』
「いやいや遠慮しなくてもいいよ!」
さっも言ったがこういう経験は初めてだ。正直対応のしかたが分からない。気持ちだけありがたく受け取らせていただきますという声色かつ、少し強気に断ったつもりだったが、全く効果がなかった。
またやんわり断れば長引くし面倒くさい。
よし逃げよう。
『いやいや本当に大丈夫なんで。じゃあ失礼します』
軽く頭を下げて、私の行く手を塞ぐ男の人たちの間をすり抜けようとしたとき、強い力で肩を捕まれた。
その瞬間、今まで余裕のあった心の中は一気に不安が溢れだした。
『は、離してくださ…い』
自分との力の差を感じ、恐怖の思いが私を支配し始めた。
『離してっ……!』
目の前が真っ白になり、気付けば私は声をあげていた。
男たちがそれに驚き、私の肩をつかむ手の力が緩まったことにすら私は気付くことができなかった。
「そんな大声だすなってぇ」
「そこまで怖がられると傷付くよー」
明るい口調でそう言う彼らの言葉も私には恐ろしく聞こえ、唇が震えた。
いや、だ!やめて……!
「おいやよい!!!」
私が固く目を瞑ったその時、聞きなれた力強い声が、周りの雑音を全て消して私の耳に届いた。
だい、き……??
「おいテメェら
こいつになんか用かよ」
青峰は元から低めの声を更に低くし、やよいの肩に触れている男の手首を掴んだ。青峰はミシっと腕が折れると錯覚させるほどの威圧感を放っていた。
「離せよ」
殺気帯びたその声は男たちの背筋を一瞬にして凍らせた。
男たちは動こうにも動けず、喉が締まって声を出そうにも出せなかった。
しかしピクリと青峰の肩が動いたとたん、男たちはバタバタと一目散に逃げ出した。
そしてその瞬間、やよいはガクリと力が抜けたようにその場にへたりこんだ。
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