第13Q(3/3)



「いつまでぼーっとしている。準備の途中だ。」




赤司の言葉で四人は、はっとした顔をして我に返った。
手伝おうとしたが“これは男がやることだ”と言って赤司に断られてしまった。

んー。唯はこういう所に惚れたのかなー。




準備が終わるとみんなは海へと向かった。大輝とさつき姉と紫原は走って、唯と赤司は歩いて。


そして私はパラソルの影におさまった。


海は楽しみだったがみんなを見ているのが好きだ。まぁ精神年齢のことを考えると少しばかりはしゃぐことに抵抗があるのだ。

そしてもう一人、私とは違う理由でレジャーシートに腰を下ろす人物が。


キセキの世代ナンバーワンシューターこと、緑間真太郎だ。


まぁーなんとなく予想はつく。なんでここにいるのかは。




『緑間はいかないの?』

「ふん。海ではしゃぐなどお子ちゃまなのだよ。
そういうお前はどうなのだよ。」

『私?私は見守る役だからいいの。』

「・・・・・・意味がわからないのだよ」




緑間はみんなとわーきゃーするのが苦手だ。

まぁ悪く言えば大人ぶってると言える。大人になろうとしているのかもしれない。

でもまだ中学生。その必要はまだないんじゃないだろうか。もっと自分をさらけ出してもいいと思う。

横目でバレないように緑間をちら見すると、なんとなくウズウズしているように見える。行けよ!と言いたくなるが言わない。頑固な緑間にそれは無意味だ。

でもどうにかして遊ばせてやりたい。少しばかり母性本能が目覚め、ぼーっと考えていると不意に自分の名前を呼ばれ、ぐいっと手を引かれた。




「やよいちんも海入ろ!」

『わっ、ちょ、紫原!?』




私の返事も聞かずズンズンと歩き出した紫原。どうしよう。緑間がひとりだ。




『ちょっと待って紫原!パーカー置いてくるから!』

「・・・・・・!う、うん。」




脱ぐ予定ではなかったが仕方ない。海に入れば確実に濡れる。びしょびしょになったパーカー着たくないし、それに・・・

歩きながらパーカーを脱ぎ、さっき座っていた場所に置いた。
それから、よく見ると寂しそうな目をする彼の前にしゃがんだ。




『緑間。行くよ。』




紫原と同様。私は緑間の同意も得ず少し強めに腕を引いた。女の力だから男にとっては弱いのかもしれないが・・・。しかし“おい何処へ行く!”と言いながらも全く抵抗しない緑間はやっぱりはしゃぎたかったのだろうと勝手にいいように理解した。


紫原のところに戻ると、むすっーっとした大きな子供がいた。さっきまではあんなにキラキラした顔してたのに。




『どうしたの?』

「・・・べ、別になんでもない!
じゃあ行こ!」




私の手を再びつかみ走り出した。そんなに楽しみだったのね。というか足速すぎ!砂浜でこんなに早く走れるって・・・、と感心していられるのもつかの間。後ろから彼らしからぬ声が聞こえた。


すると、私は砂上に倒れ込んでいた。いや、私だけじゃない、緑間も紫原もだ。
元凶は緑間だけど。


足元が不安定な砂浜。不慣れなそこで速く走るなどバランスを崩してもおかしくない。
緑間が転け、その手を引く私も転び、さらに私の手を引く紫原も砂へとダイブした。

二人の顔を見るときょとんとしていた。

もう限界だ。




『あはははは!』

「なっ!?」

「!?」




いつもはこんなに声を出して笑うタイプじゃないんだけどね。今日は特別だ。自分も子供らしく童心へ戻ることしにた。

それにしてもなんてまぬけな絵なんだろう。みんなで転んでさー!なんか青春ぽいね。

私が大笑いしているのに二人は顔を真っ赤にしている。まぁ仕方ないのかな。こんなに人がたくさんいる所で盛大に転けたんだ。恥ずかしくないわけがない。

海に視線を移すとさつき姉と唯が優雅に水の掛け合いをしていた。よし、私も・・・行こうかな。




『じゃあ、お先にー』




今だ立ち上がらない二人を放置し、海へと駆け出した。


今日くらいいいよねはしゃいでも。








あとがき
中途半端ですが一度ここできりますっ!章は変わりますがまだ海での話は続きます!!
次の章のメインはみどりんとだいちゃんです!!



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