第11Q(2/4)



よめ。よむんだ。タローちゃんの呼吸を・・・・・・。


今だ・・・・・・!!




『メェェェェェエエエエンンン!!!』









これで五分五分っ・・・!

私たちはとったりとられたりの攻防を繰り返していた。




「だぁ!!もう一回だ!!」

『負けませんよ!』









「ヤァァァアアア!!!!」






『もう一回!!!!』

「次も俺がとる!」







『メェ−−−−ントォォォ−−− !!!』





「もう一回!!」








私がとればタローちゃんが、タローちゃんがとれば私がもう一回!!もう一回というので終わりなき戦いを続けていた。

強い人とやるのは楽しい。

どちらが勝つか分からないこのドキドキ感みたいなのが堪らない。


しかし楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。

時計に目をやると時刻はもう少しで私がここを出る15分前をさしていた。
汗をかいたからシャワーも浴びたいし(帝光中には更衣室にシャワー室がある)、着替えるのにもそこそこ時間がかかる。
これ以上は無理そうだ。




『すいません。もう時間が・・・・・・』




そう告げると“ガーン”という効果音がとても似合う顔をした。ちょっと納得してない表情を浮かべながらもタローちゃんは“仕方ねぇな”と了解してくれた。



面をはずし、手拭いもとると高い声が静かになった剣道場に響いた。




「やっぱやよいちゃんだったんだね!」

『さ、さつき姉!??』




入り口にはさつき姉だけではなく、赤司も緑間も紫原も、あと大輝もいた。

み、みられちゃったかんじ・・・・・・?
タローちゃんとの試合に集中しすぎて周りの事、全然気にしてなかった・・・。

私は何となくそちらへ近付いた。
数名は信じられないという顔をしている。というのも緑間と紫原だけど。




「やよいは剣道をやっていたんだね。」

『ま、まぁ・・・。』




赤司は興味深そうに言った。




「やよいちゃんが剣道やってるとこ久しぶりに見たなー。ねっ大ちゃん!」

「あぁ。そうだな。」




ほわほわとした顔で言うさつき姉に対し、大輝はさらっと答えた。

あの体育祭の日以降、こうして私と大輝が言葉を交わすのはこれが初めてだ。
大輝のこの反応を見る限り、あの日大輝が私のことを運んだって事実を、紫原から聞いてしまったってことは知らないんだろう。

勝手に気まずさを感じていた自分がバカみたいだ。




「やよいちんめっちゃかっこよかった!!」

『ありがとっ』




紫原はさっきは驚いていたけれど、今は感動したような顔をしていた。なんか照れるなー・・・。




「お前時間は」

『あっ!これから稽古なの忘れてたっ・・・!』




タローちゃんの言葉ではっと我に返る。

ヤバイヤバイ!急がないと!!

入り口にいるみんなをかき分けて、さっさと走って更衣室に向かった。シャワーは意地でも浴びたいから。


袴を踏んで転けそうになったのは、誰も見ていないと信じたい。




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