第10Q(2/2)




「やよいちん!赤ちん来てくれるって!」




うん。知ってる。見てたからね。
よかったね。唯。

紫原はお花をまわりに浮かべながら私たちの所に帰ってきた。そんなにいきたかったのね。可愛いやつだ。本当に。

のほほんとした顔をする紫原とは反対に、紫原に着いてきた赤司は驚いた顔をしていた。




『どうかした?』




訪ねると、“はぁ”とため息を疲れた。私にため息疲れてるみたいで思わず眉を潜めてしまった。




「いや、紫原がな。」




あ、なんだ。私じゃないのか。

赤司の話を聞いて再現してみるとこうだ。




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「赤ちん!夏休み空いてる日ある?」

「あぁ、あるが。どうしたんだ?」

「じゃあさ海行こうよ!」

「海?」

「うん!ダメ・・・?」

「別に構わないよ。」

「やった!やよいちーん!」

「(やよい?)」


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私たちが居るということを言っていなかったらしい。つまりそこそこ大事なことを言ってなかったというわけだ。まぁ、紫原らしいといえば紫原らしい。


一瞬断られるかもしれないという不安がよぎったが、赤司は逆にある提案を持ちかけた。




「このメンバーでいくのなら他のみんなも一緒にいくのはどうだ?」




他のみんなって言うのは十中八九“キセキの世代”のことだろう。どう返すべきか。別にいいのだが、唯は・・・・・・




「人数多い方が楽しいもんねっ・・・!
みんなで行こうっ・・・!」




そう言ったのは唯。
気のせいは分からないが、前よりは積極的になっていると思う。今もこうして自分から発言したのだから。

赤司は口元に弛く笑みを浮かべながら“決まりだな”と言った。
ってことは、女子が、私と唯とさつき姉。男子が紫原、赤司、緑間、大輝ということ?なんかアウェイ・・・。私だけバスケ部じゃない。
ちょっとだけ気が重くなった。けど気にしたら負けだ。


日にちはバスケ部組で決めてもらって私が合わせる方が早いから、そっちで決めてもらうことしにた。


さつき姉から決まったことを聞けば大丈夫だろうと思ったけど、念のためといってお互いの連絡先を交換した。
みんな携帯を持ってて、現代っ子だなーなんて思った。



体育館でつまらない校長の話を聞き流しながら少しだけ夏休みの構想を練った。

宿題は1週間くらいで終わらせる。そのあとは高校入試の問題でもみておこう。それも終わったら高校の内容をおさらして、それも終わってしまったら大学入試問題でもやろう。頭は使わないとね。いくら前の世界で学んだからといって知識が風化しないということは無いから。

しかしこれにお小遣いを使うのは嫌だ。なにか方法を考えないとねー。

あとやることは、部室も夏休みの間ずっと放置していたら、せっかく片付けたのにまたほこりまみれになる。週に一、二回は行って掃除のついでに文字でも書いていよう。

ピアノは今まで通りやって、剣道は今までよりも稽古の時間がぐんと増える。

それと、みんなで海に行って、あと唯とどっか行って。あ、水着買いにいかなきゃ。


考えてみると意外とやることは盛り沢山だ。

あっという間に今年の夏休みは終わってしまいそうだ。




校長の無駄に長い話のせいで貧血になり倒れた子が出たため、そのあとは適当にまとめて話は終了した。いつもそのくらい短ければいいのに。


教室に戻り、これまた退屈な担任の話を青い空に浮かぶ真っ白な雲を眺めながら耳に蓋をした。
担任が中学生に言うことなんて“宿題は早めに終わらせること”とか、“ゲームセンターでお金を使いすぎないように”とか、“火遊びしない”とか、“危ない人に関わらない”とかそんなものだ。聞かなくてもどうにかなる。



“それでは有意義な夏休みを過ごしてください。”と担任が言って、一学期最後の終学活は終わった。


えっと私はたしかこの後稽古がある。早く帰んなきゃ。




『じゃあ私用事あるからもう帰るね』

「そっか・・・。海のことは決まったら早めに連絡するっ・・・!」

『うん。ありがとう。よろしくね。』




それからこしょこしょと“二人だけて遊ぶのも忘れないでね?”と、私の耳元で言った。

忘れてないよ。唯からのお誘いだもん。




『じゃあ・・・・・・また今度!』

「うん!」




“ばいばい”とちゃんと別れの挨拶をしてから教室を出た。



校舎を出るともわぁっと生暖かい空気が私に纏わり付いた。涼しいところからいきなり暑いところに行くとなるアレだ。


これでもか!というほど輝く太陽が物語っていた。


今年の夏は暑いと。





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