買い物を済ませて台所で夜ご飯の準備をしていると、可愛らしい声が聞こえた。
「ただいまぁー・・・」
『おかえり、さつき姉』
折角の可愛い顔が。
疲れているせいかげっそりしていた。“普通体育祭のあとにやらないよねーっ!”と小言を言った。
本当にそれ思う。私一人で帰んなきゃいけないし。
さつき姉もそれなりに泥だらけだったし、夜ご飯もまだ出来てなかったから、先にお風呂に入ることをすすめた。
さつき姉がお風呂に入ったことを確認してから再び作業を開始した。
多分長湯だ。鼻唄歌って入ってったから。
さてとっ!さつき姉が出てくる前に完成させなきゃっ!
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『あ、大輝』
リビングに現れた大輝に驚くが、まぁ想定の範囲だったりする。
『大輝の両親も飲み会?』
「あぁ。」
やっぱか。
大輝もそんなに料理うまくないし、作るのも面倒だとか思って桃井家に来たんだろう。
おおめに作っておいてよかった。
髪はしっとりと濡れていたからお風呂は自宅で済ませてきたんだろうな。
シャンプーの香りが、室内に吹き込んだ風と一緒に私の鼻をくすぐった。
「なにつくってんだ?」
『お菓子』
「誰かにやるのか?」
何でわかったの?!って思ったけど、そういえばラッピングの袋をテーブルの上に置いてたな。
『うん。紫原に』
「今日作る意味あんのか?」
それは疲れているのにわざわざという意味だろう。
まぁ、ただのお菓子だったら今日作る意味はないんだろうけど。
『うん。お礼だからさ。』
「・・・?」
『私倒れたでしょ?その時紫原が運んでくれたから、そのお礼。』
「・・・・・なるほどな」
大輝は納得した用な声を出した。
実は今こうして話しているが、私は手が離せず大輝に背を向けている状態で話している。
から、どういう表情をしてるとかは分からない。
まぁつまらなさそうな顔してるんだろうなー。
会話が終了して暫くすると、お風呂からあがったばかりのさつき姉が出てきた。
『じゃあご飯にしよっか』
エプロンを脱いで椅子に座った。
「「『いただきます』」」
久しぶりの3人でのご飯を食べ始めた。
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