第7Q(3/7)

大ムカデも色別選抜リレーも午後の種目で、午前に出場する種目はもうないので、割り当てで大道具の仕事になっている。


クラス席で皆とワイワイ応援したかったなー。




今のところは特に何か問題が起きたりとかは無くて順調だ。


この調子で最後までいけばいいと思う。




次の種目はハードル走で、一人1コース作らなきゃいけない。
5つのハードルを持ち上げたが思ったより重くてふらついてしまった。


鍛えてない訳ではないから力にはそこそこ自信はあったのに・・・。


いやでもこれは本当に重い。



よろめきながら自分が担当する第5コースへ向かった。


ホントになんでこんなにハードル重いの。


本当は走りたいけど重くて体勢が不安定なためスピードが出せない。


他にハードルを運ぶひとは全員男子で、皆走っていて、自分がまだ運んでいるというのにハードルを並べ始めていた。


これはさすがにまずい。


頑張って走るしか・・・



ため息を吐くと腕の重みが消えていた。



ハードルは



あの“虹村修造”の肩へと移動していた。



なん、で。


バチっと視線が絡み、あの時言われた言葉が頭の中にこだまして一瞬息をするのを忘れた。


彼の黒い瞳に映る私の顔は、自分でも分かるくらい強ばっていた。


今この人が何を心の中で思いながら私を見ているのか分からなくて怖い。




「オレがやる。」

『え、ちょっと待ってくださいっ!』

「お前がやると間に合わねぇんだよ。着順の旗でも並べとけ」





私の返事も聞かず、視線を切って走ってハードルを並べに行ってしまった。


ここで引き留めてもなんの解決にもならない。時間の無駄だ。

旗並べるしかないか。


1から8まである着順の旗を走って並べにかかった。
早く終わらせて手伝いに行こうと考えていたけど、私の仕事が終った時には、もう彼はハードルを並べ終え、大道具係のテントへ小走りで向かっていた。


ハードルに着いていた砂でのせいで肩の辺りが茶色くなってしまった体育着は遠くからでもよく分かった。

あぁ、また迷惑をかけてしまった。私はあの時みたいに使えないヤツのままだ。


関わらないという目標はもう達成することはない。
このまま黙ったままでいるのも良くないとも思った。


謝らなきゃ・・・。



私はその背中を追いかけた。




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