第6Q(1/11)


大輝も補習にひっかかることなく、テストという強大な壁を越え、再びバスケに没頭する日へともどった。

今日は大輝の部活が終わった後、テスト勉強に協力してくれたお礼をしてくれると言われたので待つことにした。
コンビニでなんかおごってくれるって言ってた。

うーん。ちょっと高めのスイーツでも買ってもらおう。


でも実際に手伝ってくれたのは私だけじゃなくて、唯と紫原と赤司もだ。私だけ大輝に感謝されるのはなんか違う。だからといって今更そう伝えるのも遅い。

さすがに四人分おごるというわけにはいかないだろう。特に紫原とか。

そのせいで私への大輝のおごりが消滅するのは嫌だ。

悩みに悩んだ結果、今度何かお菓子でも作って、私が三人にお礼をするということにした。


そんなわけで大輝を待っている間暇だ。

体育館で見学するのもありだと思うけど、この後何かあるのか?と赤司に聞かれると非常にまずい。
嘘は苦手だから、突き詰められたらすぐに白状してしまうだろう。
それに嘘をついたところで赤司には何の意味もないだろう。すべてお見通しな気がする。


うーん。
あ、そうだ。部活しよう。
本当は今日、活動日じゃないけど、下校時刻まではいいよね。そう気まぐれで畳のない部室へ向かった。


扉を開けると、隅の香りが少しした。どうやら部屋に匂いがしみこみはじめたみたい。このにおい好きだな。
落ち着くから。

窓を開けると柔らかい風が部室を満たした。
風はそんなに強くないからこのまま開けておこう。


すばやく道具の準備をし、硯に墨汁を注いだ。

ぶわっと、濃く香るそのにおいを肺いっぱいに吸い込み、少しだけ長いまばたきをしてから筆を握った。


下校時刻のチャイムが鳴り、筆を走らせる手を止めた。

思った以上に集中していて、時間を全く気にしていなかった。

手早く片付け、乾いていない半紙はそのままにして急いで体育館に向かった。

校内は暗くなり始め、走って大輝のもとへ向かった。
これからは遅い時間までやらないようにしないと。

一人で真っ暗な夜の校舎を歩く度胸は私にはないから。


だれか入ってよーっ!!!





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