第2Q(2/2)

私は覗き込むように、教室の後ろの扉から中の様子をうかがった。その様子を見て私は顔を苦笑いする結果となる。

うわっ。なんかみんないい子ちゃんに座ってんだけど。空気おもっ!!!みんな緊張しすぎでしょ!入りたくないんだけどっ!!

入るのをためらいどうしようかと迷っている時だった。



「すまない、通してくれないか?」

『あ、ごめん・・・・・なさい。すいませんすぐどきますすいません。』



私の反応がおかしいのがばれたのか、斜め後ろにいる人物は綺麗な顔を歪めた。
いや、だって。これは仕方ない。マジで。

鮮やかな赤い髪と瞳。

これはもう、あの赤司征十郎で間違いないだろう。

そして、前の世界にいたときは“へいへいへいへい、なんだこの厨二野郎wwwwww”なんて思っていた私だが、今はそれどころじゃない。そんなこと思ってい暇はない。恐ろしくて仕方ない。
こいつに目をつけられたら今後の学校生活をどうすごしていけばいいのかわからない。こんな入学初日に目をつけられ、肩身狭く一年間、いや三年間過ごしていかなきゃいけないのか!?最悪だ。もう転校しようかな。

ものすごいスピードでいろんなことを考えていた頭の中を一瞬にして止めたのは彼の冷たい声だった。



「君は僕を知っているのか?」



ド直球の質問に私の身はかたまった。その声はどこか確信づいた声で背中に冷たい汗が流れる。

なんと答えるべきか。返答によれば死刑が執行されるだろう。うまく回らない頭で必死に考えだした答えはそれだった。



『知らないよ。ただ髪が赤くてびっくりしただけ。』



冷静を装って答えてみたが、ヤツにそれが通用したかわからない。次はどんな質問をくらうのかビクビクしていたが、赤司は私の返答に納得したような顔をした。さっきまでの鋭い目つきはいつの間にか消え、凛々しいものに変化し、頬の筋肉も緩んでいた。



「そういうことか。しかし君もそうだろう?」



くすっと笑うように彼は言った。どうやら死刑は免れたようだ。こんな柔らかい表情をするのかと少し驚いたが、まだ開花する前だからか。と理解する。



『そうだね』



赤司と同じように若干あきれたようにそう返した。小学校の時もからかわれたことあったし・・・。



「僕は赤司征十郎だ。君は?」

『え、あ、私?私は桃井やよい!』



突然の自己紹介で変な反応をしてしまったが、たぶん大丈夫だろう。これってもうお友達出来た感じ???クラスで一番最初にできた友達が赤司ってスペシャルだろ。私強い。
赤司はよろしくと言い(微笑つき)、自席についた。
私もそろそろ座ろー。

一番窓側の後ろから三番の席へ足を向けた。さて、この重たい空気をどうするか。と、そう頭を悩ませながら。





* * *





私の後ろの席には、薄い茶色がかった髪色の長い髪の女の子が座っていた。
うつむき気味のため、重力に従って垂れる長い髪が彼女の顔を隠し、顔が全く見えないため何を考えてるのか全く分からない。そしてじっと石像のように固まって動かない。

こういう子って話しかけて良いのかわかんない。人嫌いとかあるじゃん?

ただ声をかけるだけだと、自分じゃないと思われて無視されるかもしれない。そう思ってぽんぽんと彼女の肩を二回軽くたたいた。



『ねえねえ、私は桃井やよい。あなたは?』



さっき赤司がしたような自己紹介をする。そうすれば目の前の彼女は、ばっと勢いよく顔を上げた。

ちょっと、かわいいんですけどこの子。睫毛長いし、目はくりくりしている。絵にかいたような女の子だ。



「わ、私は・・・山城唯、です」



最後らへんは聞き取りずらかったけど名前はわかった。唯ね。よし、覚えた。



『よろしくね』



笑顔で返すと唯は頬を赤らめ、これまた小さい声でよろしくと返してくれた。

シャイガールは嫌いじゃない。

反応がいちいち可愛くてむしろ大好きだ。

こういう子って男の子大好きだよね。守ってあげたくなるみたいな。まさにこの子はそうだ。人に話しかけるのとか苦手そう。友達作りに苦労する。よし。



『私の友達紹介するよ。ほら立って!』



一瞬、えっ?という顔をしたが気にしない。唯の手を引いて、同じ小学校に通っていた子を紹介しに回った。といっても3人くらいしかいないけど。
私の半歩後ろにいる唯は、少し嬉しそうに見えた。表情が明るいというか、目がキラキラしてる。きっとそうだ。間違いない。そんな唯をみて、私もうれしくなった。

恐ろしく静かだったクラスがいつの間にか数名が自分の席から立ち上がり、会話をしている姿がちらほらと出てきた。
どうやら雰囲気作りは成功したみたいだ。
ナイス私。


その後、いくらかしないうちに担任らしき人物が教卓の前に立った。名を名乗り、入学式の簡単な説明をし始めた。聞いてなかったわけではないが、半分くらい聞き流した。めんどくさいし。きっと唯がちゃんと聞いてるから。


このクラスはどんなくらすになるんだろう。

窓の外に浮かぶ白い雲をぼーっと眺めながら考えた。



みなさんよろしく。



私は突然視界に現れた飛行機を目で追った。


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