第1Q(1/2)




あれから12年。幾多もの苦痛や試練を超えてきた。例を挙げていくときりがないから今回はやめておこう。



私は今日、“帝光中学校”に入学します。元の世界にいたときから黒子のバスケは好きだったから、やっとこの時がきたか!と嬉しい。でもその反面、あの悲しい出来事があると思うと胸の奥がざわめいた。



生まれてから今日まで、本当に色んなことがあった。大きな一つの出来事はやはり“青峰大輝”との出会いだ。
生まれてしばらくして、近所でばったり。その時はまだベビーカーが必要な時だった。まだ赤ん坊の大輝は、まだあの鋭く全てに冷めた目ではなくて、くりくりした大きな目を輝かせていろんなものを興味津々に見ていた。目があったとき、大輝はへらっと無邪気な笑みを見せ、それはもう発狂レベルだったが、それは心のうちに留めて私もにこりと笑い返した。
それからというもの、近所だったし、母親同士が仲良くなったため、私たち3人はよく一緒にいた。今はこんな姿だけど、もとは高校生だったわけで、私は保護者役(2人を見守る係)の予定だった。しかし元気すぎる2人に半ば無理矢理遊びに参加させられながらも楽しい日々を送っていた。

そんな日々もあっという間に過ぎ去り、私は中学生となったのだ。




今私たちは、帝光中の前の通りをさつき姉を大輝と私がはさむようにして、三人で肩を並べて歩いている。歩く時も、写真の時も、並び方はいつもの並び方だ。まあ、私がそうしてるんだけど。


いきなりだが、さつき姉はかわいい。ものすごくかわいい。そう私と違って。
この世界にくる前から、漫画を読んでいて可愛いとは思っていたけれど、実物はその可愛いをはるかに上回っている。顔はもちろんだが、漫画だけでは伝わらない“桃井さつき”という人物の性格。それも加わってだと思う。無邪気で、色んなところに気を配れて、妹の私を幼い時からずっとよく面倒を見てくれた。



でもまぁ、人は見た目から入るもの。
さつき姉を見た人は大体、さつき姉の後を目で追う。可愛いから。
そんなわけで、ナンパしてくるやつも出てくる。まあまだ中学生だから名前聞かれたりとかするだけだけど。今はまだ厄介ごとには巻き込まれないだろうけど将来のことを考えて。つまりさつき姉に悪い虫がついたりしないように、私は常にさつき姉の隣を歩き、大輝の隣には絶対行かない。



帝光中の通りは桜が多く植えてあり、私たち新入生を歓迎するかのように小さい花を一杯咲かせていた。
ふと目線を横にずらすと、楽しそうに上を向いて歩くさつき姉。花びらと同じ色をした長い髪がとてもきれいだと思った。


あ、花びらついてる。とってあげなきゃ。


そう思って私はピンク色のその髪についているものを取ろうとした。が、黒く日に焼けた手を見て、出しかけた腕を引っ込めた。


やっぱ気づいてたか。敵わないな。




そう。私が大輝の隣を歩かないのには、もう一つの理由がある。




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