第0Q(2/3)





私の意識が戻ったのは、目を閉じていてもわかる、瞼をも貫通する強い光のせいだった。
あぎゃあおぎゃあという、生まれたばかりの赤ん坊の泣き声が二重に聞こえ、それぞれ高さの違う音を出していた。どうやら赤ん坊は二人いるようだ。
冷静に分析していたがその次には疑問が一つ、私の頭の中に浮上した。



おかしい。と



私はまだ高校生だし、幼い妹や弟がいるわけではない。母親だって妊娠していたわけじゃない。なのになぜ赤ん坊の泣き声が聞こえるのか。


あ、そうか。夢か。
私はあの暗闇にいる時からずっと夢の中にいるんだ。
私はそう理解した。



でもこんなに音が鮮明な夢は初めてだ。いつもはノイズがかかったような、聞こうとすれば聞こうとするほど音は聞こえなくなっていく。そういう夢しか私は見たことがない。
目を開けたらこの謎の夢から覚めてしまうかもしれない。それでも自分が今どういう状況にあるか知りたかった。
ただの興味だ。


眩しければ目をつぶるという生理現象に逆らって無理やり目を開いた。瞼を少し持ち上げたそのわずかな隙間から光は容赦なく入ってきた。


視界はぼやけ、まるで世界のすべてにモザイクがかかったような気持ちの悪い世界が私の瞳に映し出された。
なんだか世界に拒否されている気分だ。しかしそんな気分は少しずつ消えていくモザイクと一緒に消えた。




そしてはっきり見えるようになった瞬間気づいた。



その産声のひとつが自分のものだったと。








私の意識は突然きた強烈な眠気で再び消えた。









---この日私は二度目の誕生を迎えたのだった。





戻る】【TOP
拍手】【更新希望アンケート


×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -