02.れっつごー

聞きなれない電子音で目が覚めた。


自然な流れで目を開ければ、昨日の出来事が走馬灯のように脳裏に映し出された。



「…はよ、ソラ」



……おはようございます。

やはり夢ではないようだ。

イケメンフェイスが目の前にあり、耐えきれなくなった私は、寝ていた体を起こした。


昨日のあの後、ご飯を食べてすぐ寝た。
それも火神と。しかもベッドで。

動物をベッドに入れるのって、個人的には凄く抵抗があるのだか、火神はそうでないようで。

ベッドじゃなかったらおそらく床だっただろうからそこは助かった。

ただ火神の抱き枕にされ、知らない場所で馴れないにおい。
緊張やら不安やらで良く眠れなかった。


てかベッド広、
草原じゃん。


ベッドのスプリングが軋み、不意に頭を撫でられた。



「飯作るからちょっと待ってろよ」



そう言って私を残し、火神は寝室から出ていった。



まだ薄暗い窓の外に目をやり、私はまた考え始めた。


私は『黒子のバスケ』という作品を知っている。だから彼が火神と分かったわけで。

原作もアニメも知っている。
といってもウインターカップの手前までなのだが。
でも。それでも、彼の事はそれなに把握している、が。


火神ってこんなキャラだったっけ!??


犬嫌い…というより怖いと言っているだけだから、動物自体嫌いなわけでは無いのだろうがそれにしても……。



「ソラ、飯できたぞ」



部屋の外から私を呼ぶ声がした。

あ、いいにおい。


私はベッドから跳び降り、火神の元へと足を進めた。


……四足歩行慣れない…。

よたよたと歩いていたからか、火神の足元までいくと抱きかかえられた。


それから火神は『まだ調子良くねぇのかな』と呟きいた。


ここに来るまでの記憶は全く無いのだが、完全に目覚める前感じたあの感覚と、火神の言ったことか推測すると…


雨が降る中、私は『捨てトラ』として火神に拾われて。
きっと雨のせいで風邪のような症状でも起こしていたのだろう。頭とか痛かったし。





『これソラの分な』



リビングにつくと火神は床に私を下ろし、コトっと小さな音を立てながら、肉が乗ったお皿を私の前に置いた。


火神の『いただきます』を聞いてから私は目の前の食べ物を口に着けた。


……美味しい。



「どうだ?美味いか?」



キラキラとした表情で質問してくる火神に、私は首を縦に降って応えた。

うん。本当に美味しい。




私がやっと食べ終わった頃、火神はバタバタと忙しそうにしていた。

どうしたのだろうとその様子を見ていると、火神は玄関へ向かった。


着ているものは部屋着から制服になっていた。
これってもしかしなくもないよね!学校行くんだよね!!


行きたい、私も行きたい!!


私は慌てて玄関に移動し、少しだけ爪を立てて火神の足にしがみついた。



トリップしてしまったならもうそれで仕方ない。
こうなったらととことん楽しまなきゃでしょ。
原作もう終わってるかもしれないけど!!


しがみついて暫く、頭の上から声が降ってきた。



「お前も行きたいのか…?」



私は勢い良く顔をあげ、分かりやすく何度も首を縦に振った。



「んじゃ、一緒に行くか。たぶんカントクも許してくれるだろうし…」



再び火神は私を抱き上げると玄関のドアに手をかけた。


さぁ、誠凛にレッツゴーだ。──





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