01.はじめまして

目を開けると見慣れない部屋に居た。

『部屋』と言ったが、置いてあるものでそう判断しただけであり、大きさ的には体育館レベルである。


ここどこ…


取り合えず私の部屋でないことは確かだ。


部屋には必要最低限な生活用品しかなく、床にはバスケットボールやダンベルが。
雑誌棚には綺麗にバスケ雑誌が並んでいる。

床にゴミもなく、脱ぎ捨てたような服も見当たらない。
どうやらここの住人は綺麗好きな様だ。


キィっと、後ろから扉の金具が軋む音がして、反射的に振り向けば赤髪の巨人が立っていた。


ちょっと待って。身長高いのは知ってた。
知ってたけどさ。

リアル190pってこんなにデカいの?
そんなはず無いよね。

何これどうなってんの。


混乱する私のことなどお構いなしに、その巨人は私に近づいてきた。

それから私の両脇に手を差し込んで、自身の顔の高さまでひょいと私を持ち上げた。



私はこの顔を。
この人物をよく知っている。

ただ決して出会うはずのない人物。



「元気になったみてーだな。」



深い赤色の瞳には不思議なものが映っていた。
猫のような犬のような。


私と目が合っているはず。
なのに人の形をしていないのは何故だろう。


彼が見ているものを確かめようと、私は慌てて彼から自分の姿へと視線を変えた。



……嘘でしょ…??




「俺の名前は火神大我。
お前の名前は“ソラ”だ!
こらからよろしくな!」




驚きと困惑で言葉がでない。

ただ私が置かれている状況だけは分かった。




私はどうやら『黒子のバスケ』の世界にトリップしてきてしまったようだ。


しかも『トラ』の姿で。──





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