19.暑さには敵わない(2/3)

何かの拍子に目が覚めた。
窓から差し込む光で、夜が明け、朝を迎えたのが分かった。
まだ重い瞼を少しだけ開ければ、綺麗な小麦色の肌が目に映った。

あぁ、そういえば、寝苦しさで目が覚めて、Tシャツ脱いでたな。
脱ぎ捨てたTシャツはきっと、ぐしゃぐじゃになって床に放られているのだろう。

私を抱き枕にするのを止めた方が絶対に涼しい。
しかし、それを火神に言ったところで意味はないだろう。

たしかに、目を開けたら、目の前に鍛えられた厚い胸板がある、というのはかなり刺激的ではあるが、バスケ部の皆は急に着替えだしたりするし、裸の上半身くらい見慣れている。
というか、それくらいの適応力がないと、やっていられない。

しかし、見慣れているといっても、この距離では無理である。

この腕の中から抜け出さなくては。

と、そう思い、身を捩る。



「……ん。……ソラ、?」



なるべく起こさないように気を付けたつもりだったが、私のせいで起こしてしまったようだ。
昨日は夜更かしだったし、時間いっぱい眠らせてあげたかったのに。



「……はよ。ソラ」



気の抜けた寝起きの声でそう言うと、私をきゅっ、と抱き寄せる。
そして、私の額に自身の額を合わせると、そのまま私の鼻にキスを落とした。それから、耳、額、瞼、頬に、軽いリップ音を立てながら、同じ様にキスをした。

寝起きはいつもこんな感じ。
いつもされていることでも、これだけは未だに慣れない。
その証拠に、私の心音は上がりっぱなしである。
今日はいつもよりキスの回数が多いし尚更……──

私の口元に彼の唇が触れそうになった時、途端に猛烈な殺気と鼓膜をつんざく程の大きな音が私たちを襲った。



「か、かかか、かっ、火神っ…!!貴様……!!!!ソラに何をしているのだよ!!!」




浮上しきっていなかった意識が一気に目覚める。瞬間に体が石化したように固まった。

固まった体とは反対に、思考はものすごい速さで回転した。

ちょっとまって。みんなはいつからそこにいたの!??別に何か悪いことをしていた訳じゃないど、さっきのやり取りも見られてたってこと……???

しかし、焦っているのは私だけで、火神は大きなあくびをし、「朝からうるせぇな」と不機嫌そうな声で言った。

どうしてそんなに呑気なの……!!!?
って……!私、着ぐるみ着てないじゃん……!緑間と高尾にはとっくの昔にバレてるけど、これ以上私がネコじゃなくてトラだって知ってる人を増やすわけには……!!!!


火神の腕から無理矢理脱出し、布団の中へと隠れた。前線に緑間に高尾、黒子が居るからギリギリ後ろの人たちには見られていない…と信じたい。



「火神君。どういう状況か説明してくれませんか。弁解したところで顔面にイグナイトしますけど」

「俺にも説明してくれよ、火神。」

「貴様もソラも何故服を脱いでいるのだよ!!」



ちょっと待って。なんかおかしくない?話があらぬ方向にいっている気がしてならないぞ。
そもそも私が服…正しくはきぐるみを脱ぐのは当たり前だ。(まぁ確かに少し落ち着かないけど…)
たぶんそっちよりも火神が脱いだから…



「さぁ説明してください火神君」



ひぃ!!!
黒子の背後にものすごく黒いオーラが見える……!!!

私は布団にくるまり、嵐が過ぎ去るのを待った。──





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