引きこもりへの提案

こんにちはどうも。

帰宅部かける休日は引きこもりの私に、彼氏テツヤは大胆な提案をしてきた。



「マネージャーやりませんか?」



おお、なんと。
さっきも言ったが私は引きこもりだ。基本的になにも用事がなければ家から出ない。
そしてそんな私をテツヤは心配している。

うん。おかんだ。

実際私自身マネージャーをやろうと考えたことはあるのだ。だがしかし。今よりも二時間くらい早く起きなきゃいけないとか、夜遅く帰るとか、休日も学校に行くこととか、長期に渡って染み付いた早く帰りたい精神&引きこもりの私には厳しすぎると諦めた。
それと3割くらいめんどゲホゲホ大変そうだなと思っている。



『え〜テツ君が格好良すぎて見惚れちゃって仕事出来ないからできない〜』



わざとぶりっ子ぽく高い声とポーズで言ってみた。



『ちょっと待ってそんな顔しないで』



テツヤは基本的無表情だが、その上のガチ真顔ある。あれは本当に怖い。そして今まさにその顔だ。
怖すぎるので普通の顔に戻してもらってから話を進めた。



「本心で言われてない格好いいと言われるのはこんなにも嬉しくないんですね。」
『すいませんでした。』



ガチ真顔をされる前に謝った。



『でも無理なものは無理なんだよ』
「じゃあ今日は見学ということで」
『ちょっと、話聞いてる』
「では体育館に行きましょう」
『テツヤたまにそういうことあるよねー!!!』



人の事なんて言えない。むしろ私の方が酷いのだが、テツヤは時々人の話を聞かない。こうなったテツヤはもう止められず、私は手を引かれるがまま体育館へと足を進めた。




ーー*ーー*ーー*ーー
「ここに座っていて下さい。」



監督さんにはもう話を通しているみたいだ。準備良すぎだよね。
今日は見学なのでなにもしなくて良いみたいだ。なんか皆さんが汗だくで頑張っているのに申し訳ない気もするが、取り合えず言われた通りに大人しく座っていることにしよう。

試合前に聞く円陣の掛け声の後、練習が始まった。
しばらく、私はあることに気がつく。

そしてそれが延々と頭の中を回り続けた。
いや、知ってた。元から知ってたんだけど!!ちょっともうマジ無理。



「ミョウジちゃん、よね。
黒子君から話は聞いてるわ。」



私の中に意識を戻したのは、高い女の人の声だった。相田先輩はとてもいい人で感動した。これからもテツヤをよろしくお願いしますと、心の中で呟いておいた。



「見ての通り人手不足よ。勿論無理にとは言わないわ。」



テツヤは私が引きこもりだとしっかり話していたのだろう。「慣れるまでは朝も無理に来なくていいわ」とか、「初めは週3からでも構わないわ」とか。色々と私の体に優しいプランを提示してくれた。
それからグイっと私の近くに顔を寄せ、小さな声で囁いた。



「マネージャーになったら、この近距離で試合がみれるわよ」



瞬間的に顔に熱が集まった。さっきまで忘れていた考え事を思い出し、再びそのことで頭が一杯になった。わあああせっかく忘れてたのに!!
今日の練習を見て、私にマネージャーは出来ないと再確認した。
断りにくくなる前に断って帰ってしまおうと、体育館の熱い空気を吸った時だった。



「ミョウジさん。マネージャーやってくれませんか?」



そんなつもりはなかった。しかし、私は反射的に大きな声を出して答えていた。熱くなる顔が、自分の感情を素直に表している。



『無理!!絶対無理!!すみなせんもう限界です帰ります!!』



相田先輩は驚いた顔をしたあと、悲しそうな顔をしてうつむいた。
"本当は嫌だったんだ…"とか思われてますまよね。違います。そんなことは一ミリも思っていません。

座っていたベンチの下に置いていたスカスカの鞄を乱暴に掴んで、私はテツヤの横をすり抜け、体育館から飛び出そうとした。
が、それは叶わなかった。



「待ってください!どうして分かってくれないんですか!!
引きこもりなんて絶対に体によくありません!!」



テツヤが私の腕を掴んで焦ったような声で言った。
知ってる。テツヤがその心配をして此処へ連れてきたのは。でも、でも…!!



「"面倒くさい"なんて理由なら認めませんよ」



練習していたからか、テツヤの汗が額から頬へ滑り、顎の下で止まった。
あーー!!もうマジでテツヤ無理!!私は耐えきれなくなって、無理矢理テツヤに捕まれた手を振り払って逃げ出した。



『マジでテツヤが格好良すぎて、絶対にむりーーー!!!!』



心の中の声が漏れていたことも知らず、私は体育館から姿を消した。
彼女としてどうかと思うが、練習姿を見たのはこれが始めてで。格好良いの域を遥かに越えていて。ましてや、今の距離でも格好良くて仕方ないのに、あの距離で試合観戦とか、鼻血祭だ。

今の距離で十分です。


引きこもりへの提案


ーーーおまけ
「黒子、あいつのこと追わなくて…ってなにその顔!!超うぜぇ!!!!!!」
「……今僕物凄く幸せです」
「「「リア充ぶっつぶす」」」

思いもしなかった事を言われ、赤面し、思い切りリア充を見せつけた黒子であった。
(そして先輩たちにしめられた。)




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🌸あとがき🌸
いかがでしたでしょうか。
最後ら変なんかよく分からないことになってしまった…。
主人公ちゃんは、冗談で言ったのに本当にテツヤが格好良すぎてどうしようってなっちゃった。ってお話でした。
テツ君いいっすよね。(一番は不動の大我ですが←)
うん。大好きです。
短編なのに少し長くなってしまった…。次こそ頑張ります…。

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