カルピス

『カルピス好きなんだね』と、よく言われる。
まぁカルピス良く買うし。そう思われても仕方ないんじゃないかなって思う。

でも本当はほぼ毎日飲みたいと思うほど好きじゃない。

カルピスが好きなのは、好きな人が好きだから。



私の想い人青峰大輝は、今日もカルピスの缶を持ってやってきた。
買ったばかりなのか、その表面は結露していた。


彼は席に着くなりプルタブに手を掛け、飲み口を開けるとすぐそれを口へと運んだ。

ざわついた教室で、席もそこまで近くないというのに彼の喉が鳴る音が聞こえてしまうのは、私の耳が良すぎるのか、それとも彼が豪快に飲んでいるからなのか。

それとも自分の脳みそがいかれて勝手に聞こえたような気がしているのか。


好きになったきっかけは本当に単純なもので、言ってしまえば一目惚れというやつだったのかもしれない。

彼がバスケをやる姿を見るまでは寧ろ嫌いだったというか、授業さぼりやがってコノヤローみたいなことを思っていた。


来たとしても3時限目からとか、来ても寝るか教科書も出さずに窓の外を眺めるか。

だらけている姿しか見たことが無かったから、豪快な音を立ててダンクシュートを決めるところか、素人でも分かるほどの圧倒的な上手さになんというか…一瞬にしてハートを持っていかれた。



好きな人は自然と目で追ってしまうもの。

今までであまり青峰の事見てなかったから気付かなかったけど、青峰はよくカルピスをもって登校してくる。

だからカルピスが好きなんだなーと、勝手に思って、私はこうしてカルピスを買っている。



窓からふわりと風が吹き、私の髪をなびかせるのと同時に、やんわりとあの甘いにおいを運んできた。



正直青峰と、会話らしい会話というものをしたことがない。
二つ返事程度で済んでしまうものしか言葉を交わしたことがない。それも数回。


だからいつかふたりで話す時が来た時、



─『青峰ってカルピス好きなの?』


って、



─『私も好きなんだー!』



って。




そんな会話が出来たらいいなって。




カルピスを買う理由。

好きな人が好きだから。

それから私も好きなんだと言えるように。




青峰の事を考えていてすっかり顔が熱くなってしまった。
ただでさえ夏で暑いのに…。

私は少しぬるくなったカルピスの缶を額に当て、暫くしてからプルタブに指を引っ掛けた。



またふわりと風が吹く。



再び香る甘いにおいは自分のものなのかそれとも彼の者なのか。

さっきよりも強く香る甘いにおいに包まれながら、私は缶に口を当てた。




お互い同じように頬を赤く染めている事に気づきもせず。


このふたりがそれに気づくのはまた別のお話。───









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▼あとがき▼
初大ちゃん夢です!!どうでしょう…。。。
結局何も進展がない!!
甘くもなんともない…。完全な不完全燃焼ですね。
続きが書きたくなるようなならないような。。。
ご希望あれば書くと思います。。。
もっと勉強せねば…。
呼んでくださりありがとうございました!!

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