03

「Cランク任務で忍者対決なんてしやしないよ」


カカシ先生がそう言った矢先、二人の忍が俺たちを襲った。
何も出来ず手に傷を負ったオレに対し、サスケは……

先生は一通り話を済ませると、サトに戻ると言い出した。

ここで帰れば自分の弱さを認める事になる気がして、オレは傷を負わされた左手にクナイを突き立て、任務続行を告げた。


「ナルト…景気よく毒血を抜くのはいいが…。それ以上は出血多量で死ぬぞー」


折角格好良く決まったのになんか台無しだ。
それにしても……血ぃ止まんねェ!!
オレが慌てていると急に目の前が暗くなった。


『見せろ』


顔を上げればそこには一番無関心そうであるレイが立っていた。
いつもポケットの中に突っ込まれていて、普段見ることがない真っ白な手が俺の手を掴んだ。初めて会って手を叩かれた時は、痛みと驚きで手の温度なんて感じる余裕なんてなかったけど、こいつの手は氷の様に冷たかった。

てっきり手当てしてくれるのかと思ったが、じっと見つめるだけで何もせず、乱暴に俺の手を離した。
なんだかムッとしたが、それでもレイがオレの心配をしてくれたことが嬉しくて。


「お前ってばオレの心配してくれたんだな!」


ニシシと笑いながら言ったが、返ってきたのは恐ろしく冷たい声だった。


「勘違いするな。私は使命を果たそうとしたまでだ」


少し穏やかな空気が一瞬にして凍り固まる。じとりと背中に汗が流れた。
いつもどこを見ているのか分からないと言ったが、今だけははっきり分かる。
ーー俺の事を見ている。

使命っていったいなんだ…?

気になったけど、そんなもの聞けるはずがなくて、そのまま場は硬直してしまったが、呑気な声が沈黙を破った。


「レイ、ナルトの手当てしてあげて」
「はぁ…!?何言ってんだ先生!」


こいつに手当てされるとか信用なんねーし!つか先生のいう事聞くわけな…


『それは命令か』
「そ、命令」


カカシ先生がそう言うと、レイは再び膝を折り、俺の手を掴んだ。抵抗する間もなく手当ては終わった。
雑にやって終わるかと思えばその逆で、とても丁寧だった。

レイは不思議な所がある。
さっきもそうだが、たまに先生のいう事を聞く。"命令"だけを聞く。
聞かねーときもあるけど。


マジでこいつなんなんだってばよ。


余計レイが分からなくなっただけだった。
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