「オレってばもっとズケェー任務がやりてーの!他のにしてェ!」
毎日毎日便利屋の様な任務ばっかり。こんなの忍じゃなくたって出来る。イルカ先生は任務数をこなして経験を積むものだとオレを叱ったが、それでもオレは納得していない。一体これがなんの経験になるんだってばよ。
仮にチームワークを築き上げるための訓練だったとしても、ひとり輪を乱すやつがいるから本当に意味がない。
名は言わずとも分かるだろう。レイだ。
サスケは諦めて協力するようになったが、あいつは未だに俺たちに近寄ろうとしない。
そんなあいつに初めこそどうにかして仲良くなろうとしたが、いつまでも態度を変えないあいつに俺たちは少しずつ距離を取るようになっている。
ほんとになんなんだってばよ。
チラリと横目でレイを見たが、あの赤い面のせいであいつがどこをみているのかすら分からない。
レイはいつもこんなんだ。
オレがいつまでも駄々をこねていると、じぃちゃんが俺たちにCランクの護衛任務を言い渡した。
やっと任務っぽい任務だ!と張り切ったのは一瞬で、お姫様かと思ったら超ムカつくオッサンだった。
あのくそジジイ…!!オレのこと『超アホ面』とかいいやがってー!!
「……そこの気味悪ぃやつもくんのか?」
オッサンが指す指の先を見ずとも誰のことかすぐに分かった。斜め後ろに立つレイを見ればピクリとも動かずに言った。
「私は命令に従うだけだ。」
久しぶりに聞いた声は相変わらず冷たかった。
「いや……是非お前にも頼もう」
レイの声を聞いて背筋がぞくりとしたのはきっとオレだけじゃなかったんだろう。
みんな同じ様な顔をしている。
じいちゃんとカカシ先生を除いて。
こうして俺たちは波の国へと出発した。ーー
←│
→