"決して愛すな"
"決して愛されるな"
毎日のように亡き両親から言われた言葉。
私に残したもう一つの言葉。
--周りを人間を生かせ
--決して殺させるな
--決して失うような事をするな
--だが決して死ぬな
---生きろ
と。
この言葉が私をいつまでも縛るんだ。
* * *
そいつは突然。俺の前に現れた。
「レイだ。今日からこいつも七班の一員だから。
お前ら仲良くしてやれよー」
いつも通り気だるげな声を出すカカシ先生とは反対に、俺は少しだけわくわくしていた。
レイ。全身真っ黒な衣装に身を包み、唯一見える肌は忍靴に覆われていない爪先の部分だけで、そこから覗く肌はサクラちゃんよりもずっと白い。
深く被ったフードから見える赤い面は何にも例えられず、強いて例えるならば鬼のような鳥のような不思議な面をしている。
それから首に巻いた赤いマフラー。
服や靴はボロボロで、所々穴か空いていたり破けていたりしているが、そのマフラーだけは未だ鮮やかな色をしていて、ほつれや汚れはひとつもなく、新品ではないけれど綺麗なままだった。
全身は黒。不思議な面のせいで顔は見えない。それからボロボロの服に似合わぬ綺麗なマフラー。
第一印象を言えば"怪しい"の一言しか出てこない。
しかし俺はそれ以上にレイに興味を抱いた。
「俺はうずまきナルト!!よろしくだってばよ!!」
ニシシと、歯を見せて笑いながらレイに手を伸ばした。
しかしその手は繋がれることはなく、乾いた音と、色を持たない冷たい声がその場に響いた。
『私に関わるな』
叩かれた手の甲が、ヒリヒリと痛む。
興味を持っていた分、レイの好感は地へと突き落とされた。
「ナルトなんかと仲良くしたいわけないじゃない。
私は春野サクラよ!女の子同士仲良くしましょ!!」
サクラちゃんに言われた言葉が胸に刺さって、グッと奥歯を噛み締めた。しかしそれは一瞬で終わった。
『聞こえなかったのか?私に関わるな』
同じ声だが、先程よりもその声は少しだけ黒い色を帯びていた。
石のように固まるサクラちゃん。
俺の心は逆に嬉しさで揺れた。サクラちゃんもレイに俺と同じ反応をされたからとか、そんな理由じゃなくて、ただ単純に、"俺"のことを嫌いなわけではないと分かったから。オレはそれが嬉しかった。
凍りついたこの空間を破ったのはカカシ先生で、「そんなこと言っちゃダメでしょーよ」と呆れた笑いを溢した。
しかし、カカシ先生の目はどこか諦めたような、仕方ないとでもいうような暗さを持っていた。
『もう一度言う。カカシお前もだ。私に関わるな』
同じ台詞のはずなのに、今度はまた違う色を帯びている気がした。
レイは嫌いだ。サスケと同じかそれ以上。
これが俺たち7班とレイの出会い。ーーー
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