06.はじめまして友達(1/1)


『はぁ・・・・・・。うまくいかないなぁ・・・』




木の日陰のしたで一人でお弁当を食べるのはこれが何回目だろう。

折角兄さんからアドバイスをもらったというのに、“友達になって”ということ単純な言葉も言えず、昨日は奈良くんに“うぜぇんだよ。”と言われてしまった。


みんな友達とお弁当を食べる姿はすごく楽しそうで、すごくすごく羨ましい。


はぁ・・・。私も早く友達が欲しいなぁ・・・。




ぼーっと空を流れる雲を見つめていると、ガサガサっと上から何かが落ちてきて、ビックリしてお弁当をひっくり返しそうになった。




「いててててて・・・・・・」

『あなたは・・・・・・』




金色の髪に、澄んだ青い瞳。額にゴーグルをつけた人物は一人しかいない。




『うずまきくん・・・・・・?』




頭を打ったらしく、踞って痛みに耐えていた。

大丈夫かな・・・?




『ちょっとみせて・・・?』




うずまきくんは涙目になりながら“なんだってばよ?”と言いつつも患部を見せてくれた。

少し腫れてて、ぶつけたとこはコブになっていた。これくらいなら、なおせる・・・。


全部じゃないけど母から医療忍術を教わっていた。

素早く印を組み、患部に両手を近付けた。




『どう・・・?』

「いたく、ねぇってばよ・・・。」




よかった。ちゃんと治せたみたいだ。




「お前ってばすげぇんだな!」

『そ、そうかな・・・?』




照れくさくて心の奥がくすぐったかった。




「そういやお前、いつもここにいるよな?」

『・・・・・・』

「・・・・・・・・・なぁ?」




黙ってうつむいた私の顔を、うずまきくんは覗き込んできた。




「明日もここに来ていいってば・・・?」

『・・・いいよ?』

「ホントか!やりぃー!!」




うずまきくんは目をキラキラさせて、ぴょんぴょん跳ね回った。なんだか嬉しそうで、私も嬉しくなった。

するとうずまきくんは、ぱっと私に手を伸ばした。




「オレ、うずまきナルト!改めてよろしくなっ!」

『私は・・・、橘花。よ、よろしくね』




“ほら握手”と言われ、そろそろと腕を伸ばすとぎゅっと手を握られた。


ふと頭に、兄さんの顔が浮かんだ。

そうだ、今なら・・・




『ねぇ、私と友達になってくれない・・・?』

「お前変なこと言うやつだな!
さっきなったばっかりだってばよ!」




ニシシと笑ううずまきくんにつられて私も笑った。






こうして私はうずまきくんと友達になった。



まだ友達になってちょっとしか時間は経っていないけれど、友達っていいなって思った。




今日は兄さんに いい報告が出来そうです。






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