『はぁ・・・・・・。うまくいかないなぁ・・・』
木の日陰のしたで一人でお弁当を食べるのはこれが何回目だろう。
折角兄さんからアドバイスをもらったというのに、“友達になって”ということ単純な言葉も言えず、昨日は奈良くんに“うぜぇんだよ。”と言われてしまった。
みんな友達とお弁当を食べる姿はすごく楽しそうで、すごくすごく羨ましい。
はぁ・・・。私も早く友達が欲しいなぁ・・・。
ぼーっと空を流れる雲を見つめていると、ガサガサっと上から何かが落ちてきて、ビックリしてお弁当をひっくり返しそうになった。
「いててててて・・・・・・」
『あなたは・・・・・・』
金色の髪に、澄んだ青い瞳。額にゴーグルをつけた人物は一人しかいない。
『うずまきくん・・・・・・?』
頭を打ったらしく、踞って痛みに耐えていた。
大丈夫かな・・・?
『ちょっとみせて・・・?』
うずまきくんは涙目になりながら“なんだってばよ?”と言いつつも患部を見せてくれた。
少し腫れてて、ぶつけたとこはコブになっていた。これくらいなら、なおせる・・・。
全部じゃないけど母から医療忍術を教わっていた。
素早く印を組み、患部に両手を近付けた。
『どう・・・?』
「いたく、ねぇってばよ・・・。」
よかった。ちゃんと治せたみたいだ。
「お前ってばすげぇんだな!」
『そ、そうかな・・・?』
照れくさくて心の奥がくすぐったかった。
「そういやお前、いつもここにいるよな?」
『・・・・・・』
「・・・・・・・・・なぁ?」
黙ってうつむいた私の顔を、うずまきくんは覗き込んできた。
「明日もここに来ていいってば・・・?」
『・・・いいよ?』
「ホントか!やりぃー!!」
うずまきくんは目をキラキラさせて、ぴょんぴょん跳ね回った。なんだか嬉しそうで、私も嬉しくなった。
するとうずまきくんは、ぱっと私に手を伸ばした。
「オレ、うずまきナルト!改めてよろしくなっ!」
『私は・・・、橘花。よ、よろしくね』
“ほら握手”と言われ、そろそろと腕を伸ばすとぎゅっと手を握られた。
ふと頭に、兄さんの顔が浮かんだ。
そうだ、今なら・・・
『ねぇ、私と友達になってくれない・・・?』
「お前変なこと言うやつだな!
さっきなったばっかりだってばよ!」
ニシシと笑ううずまきくんにつられて私も笑った。
こうして私はうずまきくんと友達になった。
まだ友達になってちょっとしか時間は経っていないけれど、友達っていいなって思った。
今日は兄さんに いい報告が出来そうです。
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