第三話(2/2)


 取り敢えずの買い物は何とか終えることができた。
 移動中に色々と会話をしたのだが、明日からアカデミーやら任務に着く話は、今日突然伝えられたらしい。
 昨日、食事や里の案内をしてもらったのに、今日も頼ってしまうのは申し訳ないと思いつつ、どうしようもない状況に、彼女たちはオレの所へ相談に来ようとしたが、連絡手段もなく……。という話だった。
 何だ、そうだったのか。
 相談してくれれば良かったのに──と。もやもやしていた気持ちが晴れていく。
 頼られたいとも、頼って欲しいとも思っていない筈なのに、頼ろうとしてくれた事が嬉しいだなんて、やはり自分はどうかしてしまったのかもしれない。
 おまけに、連絡手段がないことにも気付かなかったとは。これではふたりから相談されなくて当然である。
 自分の中の何かが崩れないよう、これ以上このふたりに近付いてはいけない。しかし、火影様に彼女たちを気にかけてやってくれと頼まれた。最低限の事はしなくては。
 買い物の移動途中、オレの自宅を教え、オレの力が必要な時は、そこへ来るなり式をとばしていいと伝えた。(まぁ、基本的に任務で居ない時の方が多いのだが。)


「これで取り敢えず全部かな」


 陽は落ちてしまったが、最低限のものはなんとか買い揃えられた。玄関にどさりと荷物を置けば、ふたりから礼を告げられた。
 さて、オレの役目はこれで終わり。さっさと帰るとしよう。


「まぁ、また何かあったらいつでも言ってよ」


 社交辞令のようなそうでないような言葉。


「はい。ありがとうございます」
「はたけカカシさん!ありがとう!」
「ん。じゃ、オレは帰……」


 語尾は、声ではないふたつの腹の音によってかき消された。オレと風花は顔を見合わせ、風花の斜め後ろに立つ橘花はクスクスと笑っている。
 何となくある既視感。あぁ、そうだ。昨日も似たようなことがあった。
 日も暮れて数時間。夕飯どきはとっくに過ぎている。
 そういえば任務後、何も口にしていない。その感覚はないが、腹は鳴っているから、腹が減っているのだろう。しかし、食欲もないし、食事の準備をするのも食べるのも面倒くさい。一食抜いたところで死にはしないし、味のしない食事をするの方が苦痛である。帰って風呂に入って、さっさと寝よう。
 「腹も減ったし帰るよ」と適当な事を言おうとしたが、風花が「姉さん!姉さん!」と何かを橘花に訴えていた。
 何だろうと、首をかしげてると橘花と目が合い、橘花はにこりとオレに笑いかけた。そうして彼女は言った。


「良ければ夕飯、うちで食べませんか?」


 予想もせぬ突然の誘いに「え」と、短い声が溢れる。
 そんなオレに構うこと無く、風花はオレの服の裾を掴んだ。オレを見上げる目はキラキラと輝き、風花は、やや興奮気味に言った。


「ねぇねぇ、はたけカカシさんもお腹減ってるんでしょ!一緒に食べようよ!」


 ぐいぐいと服の裾を引かれ、体が前に傾く。
 それを見た橘花は風花の行動を諫めた。風花は小さな手を、ぱっと離れ、しわくちゃになったオレの服を見て、肩を窄めた。


「ご、ごめんなさい……。でもね、あのね……姉さんのご飯すっごく美味しいし……、それに……」


 言葉を連ねる度、徐々に声は小さくなり、最後の方は余り良く聞こえなかった。
 橘花はオレをどう思っているか全く分からない。しかし、その反対に、まだ子供である風花は過ぎるほど分かりやすい。
 それから、風花に何か特別なことをした記憶はなく、心当たりは全くないのだが、昨日出会ったばかりだというのに風花には懐かれていると思う。そうでなければこんな風にオレを引き止めたりしない筈だ。
 子供に懐かれるのは初めてで、正直戸惑っている。
 自分のような冷たい人間のどこが気に入ったのだろう。
 だか、あんな風に言われて断れる程、冷たい人間でもなかった。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


 暗かった風花の顔が、ぱぁっと明るくなる。「良かったね」と優しく微笑んだ橘花に頭を撫でられ、風花は「うん!」と元気の良い返事をした。


「どうぞ、あがってください。」
「はたけカカシさん、どーぞ!」
「お邪魔します」


 靴を脱ぎ、フローリングへ足をつける。足の裏から伝わるひんやりとしたフローリングの温度さえもどこか心地よい。


「はたけカカシさん!こっち!こっち!」


 風花に腕を引かれ、オレは家の中へ上がった。



* * *



 リビングに通され、勧められるがまま座卓の前に腰を掛けた。
 昨日もこの家に上がって、ここへ来たというのに同じ場所には思えない。昨日と違う所といえば、電気がついていることと、買ったまま置きっぱなしの大量の買い物袋があるくらい。そもそも、ここには備え付けの家具くらいしかなかったから、こんな小さなことでも違って見えるのかもしれない。


「散らかっていてすみません。急いで作りますね」


 橘花はそう言うと台所へと姿を消した。
 その背を何となく目で追っていると、今度は風花が「あたしもお手伝いする!」と言って橘花の元へ言ってしまった。
 つい数分前まで賑やかだったこの場所は、嘘のように静かになった。リビングにひとり残されたオレは、ぐるぐると思考を巡らせた。

 さて、この時間をどうしよう。

 こうして誰かの家に上がり、食事をさせてもらうのは、十年近く前になるだろうか。
 オビトもリンもミナト先生もクシナさんも生きていた時。ミナト先生の家でクシナさんの手料理を振る舞われたことがった。あの時は、前もってミナト先生の家で食べる約束をしていたから、その時間に合わせて作ってくれたものをご馳走してもらった。だから、手伝えることなんてなかったし、待っている時間はオビトと喧嘩していたら終わっていた気がする。
 つまり何が言いたいかというと、この時間何をしていたらいいのか分からない。ふたりからしたらオレは「お客さん」だから、何もせず待つのが正しいのだが、何かしていないと落ち着かずソワソワしてしまう。
 ひとり悩んでいると、目の前に湯呑みが置かれた。


「これくらいしかお出しできなくて、すみません。」


 橘花の気配が全くしないせいか、余程考え込んでいたのか(恐らくどちらもだろう)、急に目の前に人が現れた様な感覚に、ピクリと肩が跳ねた。
 湯呑みには綺麗な色をした緑茶が注がれており、爽やかな香りがオレの鼻をくすぐった。
 ここまで気を使わなくてもいいのに。──いや、オレがお客さんだからか。


「まだ時間が掛かりますので、ゆっくりしていてください」


 橘花がにこりと笑うと、台所から「姉さん!皮剥き終わったー!」と風花の声がした。


「では戻りますね。何かありましたら言ってください。」
「ちょっと待って!」


 台所へと戻ろうとする橘花に、オレは言っていた。引き留めたのは半ば無意識で、自分が一番驚いていた。
 ただ待つだけのこの時間。大人しく待てないガキではないが、時間の潰し方が分からない。何もしないという事が落ち着かず、居心地が悪い。
 オレは言った。


「何か手伝えることない?」


 彼女たちの手助け、というより、寧ろ自分のため。適度に時間が潰せる何かを与えて欲しいだけ。
 お茶まで用意してくれたし、お客さんのオレに何もさせる気は無かったのだろうが、橘花は察してくれたのか、断ることはせず「そうですね……」と呟いた。
 言葉の続きを待っていると、橘花の視線がオレの背後へと移った。


「では、買ったものの整理をお願いしてもいいでしょうか?」


 首だけを背後に向け、橘花の視線の先をたどる。どっさりと置かれた買い物袋。これだけ買うのも大変だったが、買ったものを袋から取り出したりタグを切ったりと、この量ではかなり時間が掛かるだろう。食事ができるまでには絶対に終わらない量である。
 いい時間潰しになりそうだ。


「ん、任せてよ」


 短い返事をすれば、小さな影がひょこりと現れた。


「あたしもやりたい!」


 リビングと台所は隣みたいなものだし、部屋もそう大きくないから、オレたちの会話も聞こえていたのだろう。風花はそう言うと、買い物袋の隣に座った。
 これくらいの年の子供は、好奇心旺盛で、あれやりたい、これやりたいと、何でもやりたい時期なのだろう。料理の手伝いよりも、気持ち完全にこっちになっている。
 橘花を見ればどこか困った顔をしている。このままではオレが風花を見ることになるのだから、橘花はそれを気にしているのだろう。
 任務で子供の護衛やらで子供と関わることがあるが、その中でも風花は落ち着いた方である。風花は何をするか分からないような、目を離せない子供ではないし、オレでもなんとか見れる(と思う)。


「気にしないでいいよ」
「すみません、お願いします」


 そう言って橘花は丁寧に頭を下げ、再び台所へと戻った。



* * *



 風花はやはり、この年にしては聞き分けが良く、理解力もある。作業は何事もなくできた。作業をしながら、アカデミーではどんなことをするのか、これはアカデミーで使うから買ったけどどんな風に使うのかなど、質問の嵐だったが、オレはひとつひとつ丁寧に答えた。オレはアカデミーに通っていた期間も短く、あっという間に忍になってしまったから、風花の質問に答えられないものもあった。しかし、がっかりされることはなく、「分かったら教えてあげるね!」と寧ろ嬉しそうだった。
 会話をしながら作業を進めていると、ふと何かが鼻を擽った。


「今日のご飯なんだろう?」


 風花はオレに言った。
 台所から漂ってきた料理の匂い。食欲の無い時に嗅ぐ料理の匂いは吐き気を催すこともあるのだが、拒絶すること無くすっと自分の中に入ってきたそれは食欲をそそった。


「はたけカカシさんはなんだと思う?あたしはね、……」


 風花は料理名をつらつらと並べた。そうしてもう一度、オレの予想を求めた。
 これはなんの匂いだろう。気が付けば真面目に考えていた。


「そうだな……。オレは……」


 ぽつりと呟くと、台所からスクスクと笑い声が聞こえる。


「カカシさん、正解です」
「わぁ〜!すごーい!!」


 喜ぶ所なのか良く分からない。
 ただ、懐かしい気持ちになった。
 オレがまだアカデミー生だった頃。オレは居間でアカデミーで出された宿題をして、父さんは夕飯の支度をする。父さんは度々オレに話しかけてきた。


──「カカシー。今日のご飯はなんだと思う?」
──「父さん宿題の邪魔しないでよね。    でしょ」
──「おー!正解だ!カカシは鼻がいいな〜!」
──「それくらいオレじゃなくても分かるよ」
──「はっはっはっ!カカシは素直じゃないなぁ」


 そしてオレの腹の音が鳴る。


「ふふっ。もうすぐ出来ますよ」
 ──「カカシ、もうすぐ出来るからな〜」
「風花、少し手伝ってくれるかい?」
 ──「カカシー!ちょっと手伝ってくれ!」
「はーい!」
 ──「はいはい」

 仕舞い込んだ思い出が重なった。
 オレの横をすり抜け、台所へと駆けていく風花の背を目で追った。
 リビングからでも見える、台所の様子。並んだふたつの姿に、オレと父さんもあんな感じだったのだろうかと、当時の自分の姿を重ねた。
 不思議だ。
 今まで過去を思い出す事はしてこなかった。思い出してもいいことはない。自分の犯した過ちだけでなく、幸せな記憶さえも、思い出せば苦しいだけだった。だから、全部全部忘れようとした。脳の奥深くに記憶を押し込めた。それでなんとか自分を保っていた。
 それなのに。
 記憶から消したいと願った父さんとの思い出を、ただただ懐かしいと、穏やかな気持ちでいるのは何故だろう。
 台所から聞こえる規則正しい包丁の音。鍋に火をかけるガスの音。換気扇の回る音。シンクを流れる水の音。食器を準備する音。
 長い間忘れていた日常の音。
 あぁ、そうだ。こんな音だった。
 もう二度と聞くことは無いと思っていたのに。
 でも、それだけではない。


「はたけカカシさん!ご飯このくらいでいーい?もっと?」
 ──「カカシ、ご飯はこれくらいでいいか?最近背も伸びたし……。もっと食べるかい?」


 その音の中に自分も含まれているのだ。
 ふたりにとってはただの日常。しかし、オレにとっては非日常。慣れない。違和感しかない。それでも、どこか心地よい。
 風花の手には山のように盛られたご飯茶碗。茶碗に盛れるだけ盛った。そんな感じだった。
 山盛りのご飯茶碗を見た橘花は少しだけ困った顔をしていた。それもそうだ。定食屋で出される丼のご飯の量より圧倒的に多いのだから。


「風花、それは……」
 ──「父さん、ご飯盛りすぎ」
「でもはたけカカシさん、すっごくお腹減ってるんだよ!」
 ──「でもカカシ、お腹減ってるだろう?」


 懐かしい。まるで昔と同じ。
 でも分かっている。同じじゃないってことは。
 思い出は過去のものであって、それを「今」に求めてはいけない。オレが生きているこの瞬間は過去ではなくて今。
 オレが今見ているものは、聞いているものは、過去とは似て非なるものなのである。


「いいよ、食べれるから」
 ──「だとしてもそんなに食べれないから」


 ほらね、違う。


「はい、どーぞ!はたけカカシさんの席はここね!」


 風花は山盛りのご飯茶碗を座卓に置くと、再び台所へと戻っていった。
 「姉さんはこれくらい?」と会話する声を聞きながら腰を持ち上げ、風花に指定された席へと座り直した。
 茶碗を目の前にし、その迫力に、食べきれるだろうかという不安が芽生えた。
 普段の食事の量は人並み。しかし、忍の生活は不規則だし、三食食べる日なんて殆ど無い。当然一回の食事でこんな量のご飯を食べることなんてしないし、普段の食事の一日分より、この一杯の方が量が多い。
 風花なりの気遣いを受け取ろうと思ってあんな返事をしたのだが、早まっただろうか。
 不安はある。しかし、何故だか食べきれる気もしていた。
 そんなことを考えているうちに、何も無かった食卓には次々と料理が並べられ、橘花も風花も席へと着いた。


「お待たせしてしまってすみません。」


 橘花はそう言ったが、こちらもこちらで色々と作業をしていたから、時間が過ぎるのは早かったし、御馳走してもらう立場なのに、「待たされた」なんて言う権利も思う権利もない。(そもそも、待たされたなんて思っていないが。)
 オレがここへ来て一時間弱程しか経っていないのに、出来上がった料理の品数に驚く。あの短い間でここまで仕上げただけでなく、彩りや盛り付けまで気をつかわれており、まるでお手本のような献立である。無かったはずの食欲も少しずつ沸き、今までちぐはぐだった、食欲と空腹が重なって、久しぶりに「腹が減った」と感じた。そして、ほかほかと湯気の出る温かそうな料理を見て、久しぶりに食べ物を「美味しそう」だと感じた。
 そしてまた風花とオレの腹が鳴り、橘花はクスクスと笑った。


「では食べましょうか。どうぞ召し上がってください」


 穏やかな声に勧められ、オレは食事と向き合い手を合わせた。


「……いただきます」


 こんな風に丁寧に手を合わせたのはいつぶりだろう。ぎこちない動きではなかっただろうか。そう思いながら、汁椀へと手を伸ばした。
 熱すぎず、かといってぬるくもない適度な温度がじんわりと手のひらに伝わってくる。体は冷えていない筈なのに、その熱が少しずつ体を温めていった。
 ふわりと自分を包み込むような味噌汁の香り。
 一体どんな味がするのだろう。きっとこのにおいのように美味しいに違いない。
 オレにとって食事とは、最早生きるための義務のようなもので、「食べる」のではなく「食物を摂取する」。「食べたい」のではなく「食べなくてはいけない」だった。
 でも、今は「食べたい」と、そう思った。
 口布を下げ、その欲求のまま汁椀に口をつけた。


「……うまい」


 頭で思うと同時に言葉に出ていた。


「お口に合って良かったです」
「でしょー!姉さんのご飯は美味しいって!」


 ふたりがそう言ったのを聞いて、自分の声が洩れていたことに気付いた。
 溢れた言葉は世辞ではなく、ただの本心だった。
 橘花は、風花の言った通り、料理が上手いのだと思う。でも、ぽかぽかと体に染み込んでいく温かさは、もっと別の何かだった。
 昨日も橘花と風花とご飯を食べた。楽しかった。いつもよりは味を感じた。美味しいとも感じた。しかし、そんなものとは比べ物にならない。
 自分のために自分で作る食事とも違う。飲食店でお金を払って食べる物とも違う。
 オレの事を考えながら、オレのために振る舞われた食事。
 食事とは、料理とは、食べ物とは、こんなに温かいものだっただろうか。


「姉さん!これ美味しい!」
「ふふっ。それは良かった」
「姉さん、また作ってね!」
「分かったよ」
「やったー!」


 誰かと一緒に食事をすること。その中で交わされる他愛ないやり取りをすること。お腹が減ってご飯を食べること。食べたものが美味しいと感じること。
 当時のオレは、ただの「当たり前」がどれだけ幸せな事だったのか理解できていなかった。だから、失ってはじめて気が付いた。全部無くなってはじめて、してもしきれない後悔をした。
 そして、どうしてこのふたりにここまで感情が揺さぶられるのか。遠ざけようとしても自分から歩み寄ろうと、近付こうとしてしまうのか。気を許せばあっという間に絆されてしまいそうになるのか。その理由がやっと分かった。

 オレが欲しかったものがここにある。

 自分のせいで全てを失った。再びそれを手に入れるチャンスはいくらでもあったのかもしれない。でもそうしなかった。
 だって、虫が良すぎるから。父さんが死を選んだのも、オビトが死んだのも、リンを殺したのも、ミナト先生やクシナさんを守れなかったのも全部全部自分のせいなのに。
 だから、もうこんなものは要らないと、欲しいとも思わないように遠ざけてしまったもの。

──穏やかな、ただの日常。当たり前の日常。
 オレは、そんなふたりの日常の一部になりかけている。


「カカシさん?」
「はたけカカシさん?」


 ふたりは、汁椀を持ったまま固ままのオレの名を呼んだ。
 嘘のように穏やかなこの空間にオレは存在していて、ここは妄想の中でも夢の中でもなく現実なのだと実感する。


「あ……、いや……。何でもないんだ」


 一人言のようなそれ。
 それでもふたりは満足そうに笑った。
 途端に目頭が熱くなって、オレは慌てて下を向いた。
 もう要らないと、二度と欲しないと決めたのに。だが、そう思い込んでいただけで、本当はずっと欲していたのだと自覚した。
 手を伸ばせば、きっと手に入るだろう。彼女たちはオレの手を握ってくれて、オレを受け入れてくれるだろう。
 でも、そんな権利はオレにはない。
 オレは幸せになってはいけないから。自分が犯した過ちを一生背負って生きていくと決めたのだから。
 それでも、幸せになりたいと思うくらいは許してくれるだろうか。
 あぁ、この場所は涙が出そうなほど穏やかでいて、そして温かい。──





(あとがき)
ご閲覧ありがとうございます!
アニナルのカカシ暗部編を見ていると、カカシ先生はこれくらい病んでるんじゃないかなと、思っています。
ふたりに出会い、カカシ先生が幸せになるまでの過程を楽しんでいただければ幸いでございます。

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