君のみぞ知る

【attention!】


・夢小説です。「夢小説ってなに?」という方はブラウザバックです。

・かつてない程の低クオリティに仕上がりました。正直載せるか迷いました。「でもここまで書いたし……」と供養的な意味で載せています。←おい

・本当にこんなクオリティですみません。

・カカシと恋人設定

・ここまで読んで頂き、「無理そう」と感じた方はブラウザバックを推奨いたします。








 オレの彼女は格好良い。見た目も中身もどちらもだ。
 見た目に関して一言でいうならクールビューティーだろうか。オレは彼女が好きで、彼女の顔も好きだから、贔屓目に見てしまうけれど、彼女の顔は綺麗だ。女性としては身長が高く、オレとそこまで変わらない。顔立ちは中性的で、髪は短め。すらりとした体型で、遠目からでは性別の判断がつかない。
 性格は比較的さっぱりしていて、程よく明るく、話しをするのも聞くのも上手いから、誰とでもわいわいと会話できるタイプである。空気を読むのも上手いため、場を盛り上げることもできるし、悪ノリが過ぎればそれを止める。基本的にはやんわりとした物言いだが、必要があればきっぱりはっきり物を言う。そんな彼女を尊敬し、頼りにする人は多い。
 それと、今はただの上忍として任務をこなしているが、暗部に入れるだけの実力もある。
 容姿、性格、実力どれを取っても非の打ち所がない。まさに完璧に近いような人間だ。
 そんな彼女は男女問わず彼女は人気で、彼女に憧れる忍は少なくなく、度々呼び出されては、告白をされている。
 バカップルのように人前でベタベタイチャイチャはしていないけれど、オレたちは付き合っていることを隠してはいないから、それなりに周知されているとは思う。それでも気持ちだけ伝えたいと玉砕覚悟で告白をしてくる。
 オレも時々呼びだされては告白をされることがあるのだが、オレは異性からしか呼び出されたことはない。彼女は異性からも同性らも呼び出されており、その頻度はオレよりも多いと思う。
 彼女が皆から好かれているのは彼氏として嬉しい。
 束縛する気はない。しかし、彼女を想っており、また彼女の彼氏であるが故に、やはり少しは独占欲というものがある訳で。
 彼女が誰かから笑顔を向けられたり、告白されたり。彼女が皆から好かれていて嬉しいと感じるのと同時に、オレの彼女に構わないで欲しいとも思ってしまう。
 それでもやはり束縛をする気はないし、これからもそうする気はない。しかし、この複雑な感情を抱いてしまうのは仕方のないことで、そう感じてしまうことくらいは許して欲しい。自分と交際をしている相手が誰かに告白されて何も感じないなんて、余程他人に興味がないか聖人でも無い限り無理だ。(正直、交際している人に告白するのは、結ばれる気が無くても玉砕覚悟でもやめて欲しいのだが。)
 独占欲は当然ある。それでも束縛しないのは、オレだけが独占できるものがあるから。
 皆は知らず、オレしか知らない彼女はオレだけのものなのだ。
 オレの隣ですやすや寝息を眠る彼女をじっと見つめれば、その穏やかな表情に自分の顔も力が抜けていった。
 無防備なこの顔はオレしか知らない。顔にかかる滑らかでサラサラの髪をそっと払ってやれるのもオレだけ。
 彼女は癖がつきやすい髪質で、枕に埋もれる髪はくしゃくしゃになっている。毎朝一生懸命寝癖を直す姿は可愛らしい。彼女の髪を真っ直ぐで綺麗で素敵と褒める皆は、彼女のこんな姿を想像することもできないだろう。
 そのまま時が流れるままに彼女の寝顔を眺めていると、不意に彼女の目蓋が震えた。

「おはよう」
「んー……おはよう」

 目を閉じたまま彼女はオレの胸にすり寄り、オレの胸に顔を埋めた。抱き締めてやれば、ほっとしたような息を吐き、彼女も同じようにオレの背に腕を回した。
 いつでもきっちりしている彼女は、皆から寝起きも良いと思われがちだが、そんなことはない。起きてはいるけど、未だに目は開けないし、時々寝ぼけて意味不明な事を言い、朝からオレを笑わせてくれる時もある。
 普段から周りに頼りにされ、頼られる彼女だが実はちょっと甘えただ。寝起きは特にそうで、こうして彼女が甘えるのもオレだけだ。
 腕の中で二度寝しようと、うつらうつらする彼女が可愛くて、くすっと笑いが溢れた。そんなオレに彼女は言った。

「なーに」
「んー?相変わらず見事な寝癖だなーと思って」

 本当の事を言っても良かったけれど、教えてあげない。だって、誰も知らず、彼女すらも知らないのならかったら本当にオレだけが知る彼女なのだから。
 橘花はケラケラと笑い「まぁね」と言うと、オレの頭をわしゃわしゃと撫でた。

「はい、これでカカシも一緒」

 オレの髪は短いし、くしゃくしゃにされたというより、髪が少しぼわっとしただけ。手櫛で元通りになる程度で、彼女に比べれば可愛いものである。しかし、それで彼女が満足そうにしているのでなにも言わない事にした。

「起きたく無いけど部屋の片付けしなきゃ……」

 ため息混じりの声で、彼女はオレの胸に顔を埋めた。
 今日はお互い任務開けの久々の非番。多くのカップルは、非番が重なれば家でゆっくり過ごしたり、どこかへ出掛けたりするだろうが、オレたちはというと、橘花の部屋を片付けるというのがお決まりである。
 今はお互いひとり暮らし。上忍に任される任務はハードなものばかりで、その日に家に帰れるだけまだまし。長期任務も少なくないし、長期任務から帰ってきた日は自宅に着くなり気絶するように眠る。
 何が言いたいかというと、激務すぎて日常的に家事とか掃除とかそんなことをしている余裕はない。いつもはギリギリ生活が出きる必要最低限のことだけをして、あとは非番の時にまとめて掃除や洗濯をやる。上忍は大体皆こんな感じの生活をしていると思う。
 任務開けの彼女の家に初めて行った時、少し散らかった部屋を見て、イメージと違って驚いて幻滅するなんてことはなく、寧ろ安心した。
 彼女はしっかりしているから、日常生活もきっちりしているのだろうと、勝手にそんなことを思っていたから、綺麗とは言い難いが汚くはない生活感のあるその光景に、完璧なこの人もちゃんと人間なんだなと、そう感じたのを覚えている。
 そんなオレに、彼女はニヤついた顔で「何?幻滅した?」と言うと、「こんなだらしない所見せられるのはカカシだけだから安心して」と、オレの肩を叩いて笑った。
 その時からだ。彼女にこんな独占欲を抱いたのは。
 だから、オレは任務開けの彼女の家へ行く。オレだけが知っている彼女を独占するために。
 出きるだけ君と一緒に居たい。ひとりで片付けるよりふたりでやった方が早い。早く片付けられればそれだけふたりの時間がゆっくり過ごせる。そんな理由を並べて彼女の家へ行く。(自分的には橘花に楽をさせたいし、彼女が任務から帰ってくる前に彼女の家を掃除なり何なりをしても良いのだが、それだけはダメだと、カカシを家政婦として利用しているみたいで嫌だと止められた。だから、ふたりで一緒にという方向で話がついたのだ。)
 彼女の迷惑になっていないか不安に思った時もあったが、鼻歌混じりに部屋を片付けるオレを見て、彼女は「物好きだ」と笑った。
 カノジョのだらしない所を知って幻滅する男がいる中、オレはそういう所を知っていてわざわざ来るのだから。
 橘花からその話を聞かされた時は、そんな男もいるのかと驚いた。だって、みんなが知らない自分にだけ見せる可愛い表情も、そのだらしない所を見れるのも。それこそ彼氏の特権だというのに幻滅するなんて理解できない。頭が鳥の巣のようになっている彼女はこんなにも可愛いのに。

「あ、その顔。」
「何よ」

 真剣な表情でじっと顔を見つめ続けられ、自分がどんな顔をしていたのかと不安になって尋ねれば、彼女は表情を変えず言った。

「天才忍者で、暗部の元部隊長で、里の誉であるはたけカカシとは思えない緩みきって締まりのない顔」

 そういうと、今度は笑いながら「カカシに憧れている人が見たらショック受けちゃうかも」と続けた。そんなにだらしない顔をしていたのかと、その言われように少々落ち込んだが、さっきは橘花のことを可愛いと思っていた時だったから、無意識だがそんな顔になっていたかもしれないと、納得してしまう自分もいた。
 橘花はオレの頬に手をやると、今度は意地悪そうな顔をした。

「だから、その顔を見せるのは私にだけね」

 心臓が大きく脈打つのが分かった。
 にっと歯を見せて満足げ笑うその顔はどこか無垢な子供のようだった。
 そうしてふと思った。橘花もオレと同じ独占欲を持っているのではないかと。皆の知らない君は全部オレのもの。君さえ知らない君も全部オレのもの。と、彼女もオレに対して同じことを思っているのではないかと。

「あぁ、分かったよ」

 頬の力が抜けていくのを感じながら言葉を返すと、彼女は嬉しそうに目を細めた。その反応にオレはまた締まりのない顔をしているのだろうと思った。
 自分がどんなだらしない顔をしているのかは分からないが、きっとこの顔はしようと思って出来るものではない。つまり、しようしても他人の前で出来るものでもなく、彼女にしかできない、彼女にしか見せられないものなのだ。
 普段のオレも、君にしか知らないオレも、オレの知らないオレも。全部全部君にあげる。
 いつもの完璧な君はオレのものだけじゃなくて良い。だから、皆が知らない少しだらしない君だけは、君も知らないオレだけが知っている君だけはオレだけのものにして欲しい。

「ハーっクショイ!!……あー、ごめん」

 くしゃみをして、綺麗な顔に鼻水をたらす間抜けなこの顔も。──

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