TRUE(書き直す前)-44

---サスケsaid
今日の俺は少し機嫌が良い。だって今日は、

「今日からサスケもアカデミー生ね」

母さんが優しく微笑む。いつもおれをあまり見てくれない父さんも俺の入学式に来てくれた。今兄さんは居ないけれど、夜には家に帰ってきて一緒に夜ご飯を食べる予定だ。こういう事も勿論嬉しい事だけど、兄さんに少し近付けた気がしておれはそれが嬉しかった。入学式後、多くの家族連れで賑わう学校前の人混みの中で、キョロキョロと顔を左右に振る黒髪を見つけた。

「アキラ―!」

名前を呼べば、アキラは勢いよく振り返って、いつもより嬉しそうな顔を俺に向けて駆けてきた。

『おめでとう!』

そう言いながらアキラはおれの頭を撫でた。普段はとても兄さんと同い年に見えないし、おれと同い年かと思うこともあるが、こういう時は年上なのだと感じる。
アキラはうちはの人間じゃない。でもアキラがうちはの敷地内に入っても、誰もアキラのことを煙たがることはしないし、むしろアキラの明るさに、無邪気さに、優しさに誰もがあいつのことを受け入れている。兄さんと仲良しで、ムカつくこともあるけど、それ以上におれはアキラのことが好きなのだと思う。今はもう家族同然の存在だ。



アキラの父さんは長い旅に出てて、アキラは家でひとりだから時々家に招いて一緒にご飯を食べたり、出かけたり、おれとは修行を一緒にすることもある。

あっそうだ。今日の夜ご飯アキラも一緒に…。

そう言おうとして、軽く息を吸ったがおれと合っていた目が一瞬逸れて、その時本当に少しだけど表情が変わった。おれが声を出すよりも早く、アキラはおれたちに別れの挨拶をして、おれの横をすり抜けて行った。

その背中を何となく目で追いかけた。アキラがピタリと足を止め、その正面には人がいた。金髪で変な模様が顔にある。俺はそこまで耳が良い訳じゃない。でもハッキリと俺の耳に届いてきたのは、俺に言った時よりもずっと明るい声で。


『ナルト!!入学おめでとう!!』


キョロキョロとして誰かを探していたのは俺じゃなくて“ナルト”という奴だと察した。

俺が“ナルト”に敵対心を持ち始めたのはきっとこの時だと、知る日は多分この先一生ないだろう。






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