TRUE(書き直す前)-34

「何度言えばわかる!」
『やだ!!私も行く!』
「お前何があったか忘れたのか!!」
『あんなのなんだってないもん!!』
「大蛇丸に襲われた事が何でもないわけねーだろうが!!」


私は今パパと物凄く言い争っている。
クシナさんは元気でいると分かった。だから今度はミナトさんを目覚めさせる方法を探すため、また旅に出る仕度を整えようと、パパを買い物に誘った。しかしパパは「お前は此処に残れ」と、連れていかないと言い、私が猛反発しているのだ。

私たちが、里に戻ってくる前にあったちょっとした事件。それはさっきパパが言った通り、私は大蛇丸に襲われたのだ。パパが守ってくれたけど…。もっと言うと大蛇丸は私に「その子を器にする」と宣言して姿を消した。

それが理由でパパは私を旅に連れていかないと言っている。
確かに危ないかもしれないけど、自分の身くらいは守れる、はず。


「いい加減…」
『やだったらやだ!!』


パパを困らせてしまっているのは分かってる。でも、でも…

ミナトさんが今も目覚めないのは私のせいだから、だから自分でちゃんと探さなきゃいけない。
それから…

パパと離れることがとてつもなく怖いんだ。

家族は何人もいるわけじゃない。それはみんな同じだ。でも私にはパパしかいなくて…。だからパパが居なくなるだなんて考えれなくて、想像もできなくて…。

それが私がこんなに意地を張っている理由だ。
引き下がる気を見せず、私はキッとパパを睨んだ。

するとパパはつり上げていた眉を下ろし、片手を持ち上げた。叩かれると思って、私はぎゅっと目をつぶり、歯を食い縛った。でも痛みはいつまでも襲ってこず、頭の上から静かな声が降ってきた。


「アキラ」


そっと目を開ければ、そこには"油"の文字があった。


「お主に預ける

ワシが帰ってくるまで、な」



パパはそう言ってニカッと歯を見せて笑った。

……全部、パパには全部分かってたんだ…。

私はパパの額宛を両手でしっかりと握って、それを受け取った。
パパから離れるのは怖い。でもパパは帰ってくると。私がこれを受け取ったということは、そういう事だ。
きつく噛み締めていた唇を、私はようやく解いた。


『分かった…
でも…1週間…!!1週間だけ待って…!!』


我が儘を言っているのは十分理解している。でも、パパが行く前にどうしてもやりたいことがあるんだ。


「分かった。」


こうしてパパの出発は1週間後に先伸ばしされた。
.





1週間はあっという間に過ぎていった。いつ帰ってくるか分からないというのに、この1週間ほとんどパパと過ごしていない。朝と晩の食事の時間くらい。
私はやりたいことがあって、朝から夜までほぼぶっ通しでそれをやっている。パパもパパで何かしているようで、お互い宿に戻ってくるのは夜だった。


そしてついにその日が来た。朝ご飯を食べ終えそうな時、パパが言った。


「今日は出掛けんか?」


突然の提案に驚いたけれど、私は『うん!!』と勢いよく返事をした。
まず最初に来たのは商店街で、服やら何やら、色んなものを買った。
それから連れてこられたのは里の外れの方にある一軒の家だった。


「ワシの家じゃ」


私が聞く前にパパは言った。パパ家持ってたんだとか、家あるなら何で宿取ったんだろうとか、何でこんな場所にあるんだろうとか、色んな疑問はパパの次の言葉で全て解決した。


「何時帰ってくるか分からんし、一応掃除はしたんだがのォ」


成る程…。部屋が汚すぎて宿取ったのか。
部屋には殆ど何も無く、あるものは生活に最低限物しかない。何か足りないものがあればじじいに頼めと言われた。


時間はあっという間に過ぎて、空は赤く染まっていた。そして、私はパパを見送るべく、あんの門にいる。


「そろそろ行くとするか」


パパは私の頭をくしゃりと撫でた。いつもよりもずっと温かくて優しかった。私は急に寂しくなって、喉の奥がきゅっと絞まった。


『あのね!!これ…!!』


私はある物をパパにつき出した。
それは傾いた太陽の光に反射して不思議な色を放った。


「これは…」
『作った、の!私の代わりに持ってって!!』


私は無理矢理パパの手首にそれをつけた。それは三つの珠が並んだ、青と白の水晶の腕輪。
私はチャクラを具現化し、留めることが出来る。この水晶はほとんど私のチャクラの塊のようなものだ。
パパは「ありがとう」と言って、さっきよりも優しく頭を撫でてくれた。


「アキラの姿で送ってくれんか?」


私はパパに言われるがまま変化を解いた。それからパパに抱き着いた。パパも私のことを抱き締めてくれた。


『怪我しないでね』
「あぁ」
『絶対だからね』
「あぁ」
『絶対帰ってきてね』


"約束だ"と言って、パパは私に背を向けた。


『いってらっしゃいーーー!!』


小さくなった背中に向かって、大きな声で言い、パパの姿が見えなくなるまで門の前に立っていた。


こうして木の葉での生活が始まることになった。










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