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赤屍の足下には、一人の老人が息絶えて倒れていた。
それだけではない。
部屋中至る所に、バラバラに切り刻まれた人体とおぼしき無数の残骸が転がっている。
そのどれもが、まだ少女と呼べる年齢の着物姿の女性ばかりだったが、しかし、それは元より生きた人間などではなかった。
全てこの老人によって人間そっくりに造られた人形だったのだ。
侵入者に向かって次々と襲いかかってきたそれを赤屍が苦もなく切り捨てると、狂気の宴の終焉を悟った老人は自ら命を絶った。

一見凄惨な殺戮現場に見えるこの部屋で、しかし、赤屍は今日一度も「人間」を手にかけてはいなかった。
造りものの少女達の屍の中に佇み、赤屍は冷えた眼差しを部屋の中に走らせる。
探し物は雛壇を模した壇上にあった。

「…悪趣味ですね」

瞳を細め、低く呟いて、そちらへ足を向ける。
金屏風を背にした壇の上には、意識を失ってぐったりとした少女の姿。
それこそが、彼の"依頼品"だった。



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