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世間がバレンタインで賑わうこの季節。
友人一同から貰ったプレゼント代わりの友チョコでお腹を膨らませた聖羅のもとに、小さな箱を携えた恋人が訪れた。

「お誕生日おめでとうございます、聖羅さん」

「有難うございます」

にこやかな笑顔とともに優しく告げられた祝いの言葉。
他の誰に祝って貰うよりも、彼のこの一言が何より嬉しい。

「プレゼントです。気に入って頂けると良いのですが」

言いながら、赤屍は持っていた箱を聖羅へと手渡した。
一見するとケーキの箱に似ているが、中身はかなり軽い。

「開けてごらんなさい」

「は、はい」

おそるおそる開いてみると──

「──ぴよ」

「…ぴよ?」

白い箱の中から、ひよこに似た黄色い小鳥のつぶらな瞳が二つ、聖羅を見上げていた。
それがぱちくりと瞬く。

「か………可愛いーー!!可愛いですっ!!!」

「知人の鳥が雛を産んだので譲って頂いたのですよ」

赤屍はくすりと笑って、聖羅の手から箱を取り上げた。
そうして『中身』を片手でそっと掴んで聖羅の手の平に乗せる。
まん丸な身体はふわふわとした体毛に覆われていて、生まれたての赤ちゃんみたいに温かくて柔らかい。

「親鳥は歌も覚えていましたから、もう少し大きくなればこの子も簡単な言葉くらいなら話せるようになるでしょう」

「本当ですか!?」

うわあ、と満面の笑みで喜びを表す聖羅の頭を赤屍が優しく撫でる。

「ちなみにメスです」

──ああ、やっぱり。
聖羅は納得して赤屍を見上げた。
ペットにまで焼きもちをやくってどうなんだろう、と少し疑問に思わずにはいられなかったが、もう今更なので納得するしかない。

「彼女は私の獲物ですから、邪魔をしないで下さいね」

人差し指で撫でられた誕生日プレゼントは、賢そうな目で赤屍を見上げてから気持ち良さそうに目を閉じた。

『アカバネサン、アカバネサン、スキ!』と愛らしい声でさえずる日も、そう遠くないだろう。



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